ハイレゾ対応のプレーヤーが必要。ポータブルプレーヤーなら手軽
クルマでハイレゾ音源を楽しむもっとも手っ取り早い方法は、ハイレゾ対応のポータブルプレーヤーの音を手持ちのカーオーディオシステムのAUX(外部)入力に接続する方法だ。市販のオーディオ機器の多くはAUX入力を装備しているし、純正オーディオでも外部入力を持つものは多々ある。ハイレゾ対応のポータブルプレーヤーも、Fiio(フィーオ)やハイレゾウォークマンAシリーズなど、リーズナブルなモデルが出ており、手軽にハイレゾ音源をクルマの中で聴くことができる。
カーオーディオ用ハイレゾ対応スピーカーの搭載が必須
ただしこの場合、ハイレゾ音源本来の高解像度で音楽が楽しめるかというと、そうとは言えない面もある。というのもポータブルプレーヤーから出たあとに通る純正システムやカーナビ、カーオーディオ等、アナログ部分のクオリティやスピーカーの能力に左右されるからだ。簡単にクルマの中でハイレゾ音源を楽しみたいと思うなら、せめてスピーカーだけでもグレードアップを図りたい。日本オーディオ協会によると、ハイレゾの定義として人間の可聴帯域を超える40kHz以上の超高域再生が示されているので、そのようなスペックを持つスピーカーを選べばいい。
たとえばケンウッドには17cmセパレート2ウェイシステムのKFC-XS1703(3万7000円・税別)やKFC-XS1600(3万6000円・税別)があるし、カロッツェリアTS-B172A(6万0000円・税別)やダイヤトーンDS-G300(8万0000円・税別)、ダイヤトーンDS-G500(16万0000円・税別)なども、40kHz以上の超高域再生が可能なスペックを持つ。
車内での本格ハイレゾ再生はハードルが高い
さてハイレゾ音源をハイレゾが持つクオリティのままで再生しようと思うと、クルマの中ではけっこう厄介だ。特にイコライザーやタイムアライメント等のデジタル補正を施した上でクオリティを落とさずハイレゾ音源を再生しようと思ったら、デジタル補正を行うDSPの内部でもハイレゾで処理しなければならないので、ハイスペックなDSPが必要。当然、それなりにコストもかかる。しかし方法がないわけではない。DSP内までフルにハイレゾ処理できるデジタルプロセッサーは、ドイツのヘリックスから出ているHELIX DSP PRO(15万0000円・税別)と、イタリアのオーディソンが提供しているbitシリーズやPrimaシリーズなどがある。
デジタル音場補正をハイレゾで処理する機器もある
その中でもっとも手軽なのは、オーディソンのPrimaシリーズを利用する方法。PrimaシリーズのAP8.9bit(10万0000円・税別)は9ch DSPと8chパワーアンプを合体したDSPアンプで、ハイレベル入力も持っている。つまり純正システムのスピーカー出力にAP8.9bitを接続することで、DSPによる緻密な音場補正が可能になり、純正システムもより良い音で音楽が楽しめるようになるというわけだ。その上で、ハイレゾ対応の光デジタル入力を備えており、そこにハイレゾプレーヤーからの信号を送り込めば、入力からDSP内での内部処理、D/A変換までハイレゾのクオリティを維持したまま処理できるのだ。オーディソンでは現時点で唯一の車載専用ハイレゾ対応プレーヤー、bit Play HD(95,000円・税別)が発売中。このセットで、クルマの中で最大48kHz/24bitのハイレゾ音源の再生が可能になる。
高価だと感じるかもしれないが、BMWやメルセデス・ベンツ等、市販ナビ&オーディオへの入れ替えが困難なクルマでサウンドのクオリティ向上を図ろうと思ったらコスト的にはもっとも手軽な方法だ。