LGBT music
前回は比較的最近のLGBTにまつわるエレクトロポップを紹介しましたが、今回は80年代にタイムスリップします。「Russian Kiss」からLGBTについて考える (All Aboutテクノポップ)
今回の特集をするためにLGBTにまつわる音楽について調べてみました。Wikipediaには、LGBT musicについての解説もあります。内容的にはちょっと欧米寄りの視点かなとは思いますが、LGBTの人たちへのエンパワーメントとカミングアウトする勇気について歌われたものとあります。
LGBT music (Wikipedia)
LGBT musiciansのページもあり、アジア圏では日本と香港にリストがありました。日本のLGBTミュージシャンとしては、美輪明宏、ピーター、中村中、KABA.ちゃん、IKKO、はるな愛とあり、ちょっとミュージシャンが本業とは言い難い人も混じっています。
話を80年代に戻しましょう。80年代に流行ったエレクトロポップ中で、LGBTのアンセムとして選ぶとしたら…という設定です。
Erasure「A Little Respect」
僕が先ず、思い浮かんだのは、英国のErasure。アンディー・ベル(Andy Bell)とヴィンス・クラーク(Vince Clarke)からなる男性デュオ。Depeche Mode、Yazooとしても活躍してきたヴィンスが出した新聞でのメンバー募集広告に応募してきたのが、アンディーです。彼らは現在も現役として活動し、数々の琴線に触れるタイプの歌を作ってきました。その中でも、「A Little Respect」は彼らの代表曲であり、LGBTの文脈でも語られるべき曲であると考えます。1988年にリリースされ、本国で4位、アメリカでも20位圏内に入りました。A Little Respect (amazon.co.jp)
A Little Respect (YouTube)
歌詞にはダイレクトなLGBTに対する表現はありません。切ない失恋ラヴソングに聴こえてしまうかもしれません。英国のSpin誌によると、ゲイである事を公言しているアンディーは、この曲を歌う時にこう言ったそうです。
僕が小さかった頃、ママに「大きくなったら、ゲイでもいい?」と尋ねたんだ。
ママは、「あなたが小さなリスペクト(A Little Respect)を見せてくれれば、良いわ」と答えてくれた。(意訳)
そういう背景がこの歌にあって、PVにも少年が登場するのでしょう。この辺りを理解して、この曲を改めて聴いてみると、彼らの深い思いが伝わります。