マダニとは
マダニからうつる危険な病気もある。ダニ予防と、お出かけ後のチェックはお忘れなく/ (c)ICHIRO KATAKAI/amanaimages
マダニが関係する病気(特に人で注意)
そのマダニが関係する代表的な病気には、以下のようなものがあります。回帰熱
国内の場合、ボレリア・ミヤモトイという細菌(1995年に北海道で発見された新種のボレリア菌)をもつマダニやシラミ類に咬まれることによって感染。頭痛や発熱、筋肉痛などの他、発汗や倦怠感、肝炎などの症状が見られる場合もある。2011年以降、北海道で2人の感染者が出たという報告がある。
日本紅斑熱
病気を媒介すると考えられているダニはキチマダニ、フタトゲチマダニ、ヤマトマダニなど。リケッチアという細菌によって起こる病気で、頭痛や発熱、発疹、倦怠感などの症状が見られる。国内で初の感染報告があったのは1984年。千葉県から西南にかけての地域で主に発生し、最多発症は三重県となっている(2010年3月時点)。
ダニ媒介性脳炎(人畜共通感染症)
マダニが病原体ウィルスを媒介し、急性の脳炎を起こす。この病気に感染した羊やヤギの乳(殺菌していないもの)を飲むことで感染する可能性もあり得る。中部ヨーロッパ脳炎やロシア春夏脳炎などの型がいくつかあり、前者では頭痛や発熱、筋肉痛の他、痙攣やめまいなどが見られ、後遺症が残る場合もある。後者では頭痛、発熱、嘔吐の他、痙攣や麻痺、昏睡、精神錯乱などが見られることもあり、致死率は30%と中部ヨーロッパ脳炎よりずっと高い。特にヨーロッパやロシアではわりと見られるが、国内では、1993年に北海道で1件の報告例がある。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
2011年に特定された新型ウィルスによる感染症。頭痛や発熱、嘔吐、下痢、筋肉痛、意識障害、皮下出血などの症状が見られる。場合によっては死に至ることがあり、致死率は6.3~30%。体液を介して、人から人へも感染するとされる。現在、有効な治療薬はなく、国内では2013年に初めて感染者が報告された後、調査の結果、2015年8月までの間に110件の報告数がある。発生地域は和歌山、兵庫から鹿児島にかけての西日本が中心。
ライム病(人畜共通感染症)
頭痛や発熱、倦怠感、筋肉痛の他、神経症状や皮膚症状など様々な症状を示す。国内では1986年に初めて感染者の報告があり、主な発生地は本州中央部から北海道にかけて。特に、長野県と北海道で多い。
野兎病
野兎病菌をもつマダニに咬まれることによって感染することもあるが、このような吸血性節足動物を媒介としてノウサギやネコ、リス、ニワトリ、カラスなどから感染する。とりわけノウサギが多い。頭痛や発熱、筋肉痛など風邪に似た症状が見られる。この病原菌は感染力が強く、健康な皮膚からも体内に侵入できる。1950年代以降、減少傾向にあったものの、2008年に5件の感染報告がある。過去の発生中心地域は本州中央部から北海道にかけてで、特に東北地方に目立つ。
マダニが関係する病気(特に犬で注意)
バベシア症マダニが媒介するバベシア属の原虫によって引き起こされる病気で、発熱や食欲低下、元気消失、貧血、血色素尿、黄疸などの症状が見られる。重度の場合、死に至ることもある。近畿地方から沖縄にかけての西日本での発生が中心だが、近年では東日本での発生も見られるようになっている。
ヘパトゾーン感染症
病原はヘパトゾーンという原虫。マダニの媒介による他、母犬から子犬へと感染することもある。感染しても目立った症状は出ないことが多いが、症状が出た場合には発熱や体重減少、目やに、鼻汁、チアノーゼ、知覚過敏、後肢のふらつきなどが見られることもある。北米タイプのものはより症状が重い。1980年代後半~1990年代前半にかけて西日本で発生が見られたが、近年ではあまりないよう。
ダニ媒介性脳炎(人畜共通感染症)
人のみならず、犬や家畜といった哺乳類動物もこの病気に感染するとされ、1995年の調査において、北海道道南地域の犬からロシア春夏脳炎のウィルスが分離されたということ。
ライム病(人畜共通感染症)
犬の場合、症状が出ることは稀と言われるが、発熱や食欲低下、起立不能などの症状が見られることもある。
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