例えば、分譲一戸建てのパンフレットに、住宅性能表示制度に関する下記のような記載があったとします。耐震性が高いのはA社とB社のどちらでしょうか?
A社 「耐震等級2」を取得
B社 「耐震等級3」相当
答えは、これだけでは「わからない」「判断できない」というのが正解です。
住宅性能表示制度では、等級の数字が大きくなるほど性能が高いことをあらわします。ですから、「等級2」と「等級3」では、当然、「等級3」のほうが耐震性は高いことになります。しかし、注意深く見なければいけないのは、「取得」と「相当」という言葉の違いです。
住宅性能表示制度は任意で、有料の制度ですが、第三者機関が検査し評価してくれる制度です
B社は「認定」を受けているのではなく、耐震等級3「相当」の耐震性があるとアピールしているに過ぎません。客観的な評価ではなく、自己申告の性能。本当に「耐震等級3」の性能があるかどうかは不明です。A社のレベルははっきりしていますが、B社の場合はひょっとすると「耐震等級1」相当かもしれません。というわけで、これだけの情報では、A社とB社の耐震性の優劣を判断するのは難しいのです。けれども、B社よりA社のほうが信頼できそうな気がしますね。
住宅性能表示制度のメリットを享受するには、きちんと「認定」を受ける必要があります。しかし、費用や手続きの手間がかかるので、実際には認定を受けずにB社のような記載をしている会社もあるようです。
たくさんの情報を手に入れても、正確に「読み取る力」がないと、正しい判断はできません。脅かすわけではありませんが、B社のように「相当」と認定を取得していないことがわかる記載なら、まだ良心的なほうなのかもしれません。