長期優良住宅/長く暮らせる家

情報を正確に「読み取る力」をつけよう!

いい家を望むなら情報収集は欠かせないのですが、情報を手に入れた後、必要になるのが「読み取る力」。入手した情報を正確に「読み取る力」がないと、正しい判断ができないと思うのです。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド

これまでに何度も、いい家がほしいと思ったら「情報収集に励もう」と書いてきました。住宅メーカーはホームページやカタログに、自社の住宅についてたくさんの情報を掲載していますから、これらを一読するだけでもかなりの量の情報を手に入れることができるでしょう。しかし、これらの情報を正確に理解して、他社との差異を把握している人はどれだけいるでしょうか。実は、情報を入手するだけでなく、情報を正確に「読み取る力」が大切なのだと、私は思います。

例えば、分譲一戸建てのパンフレットに、住宅性能表示制度に関する下記のような記載があったとします。耐震性が高いのはA社とB社のどちらでしょうか?

A社 「耐震等級2」を取得
B社 「耐震等級3」相当

答えは、これだけでは「わからない」「判断できない」というのが正解です。

住宅性能表示制度では、等級の数字が大きくなるほど性能が高いことをあらわします。ですから、「等級2」と「等級3」では、当然、「等級3」のほうが耐震性は高いことになります。しかし、注意深く見なければいけないのは、「取得」と「相当」という言葉の違いです。

住宅性能表示制度は任意で、有料の制度ですが、第三者機関が検査し評価してくれる制度です

住宅性能表示制度は任意で、有料の制度ですが、第三者機関が検査し評価してくれる制度です

A社の「耐震等級2」を取得しているというのは、建築基準法の耐震性の1.25倍の性能を持っていると第三者機関が評価しているわけです。「耐震等級3」とは、建築基準法の1.5倍の耐震性で、住宅性能表示制度の耐震等級において最高等級です。

B社は「認定」を受けているのではなく、耐震等級3「相当」の耐震性があるとアピールしているに過ぎません。客観的な評価ではなく、自己申告の性能。本当に「耐震等級3」の性能があるかどうかは不明です。A社のレベルははっきりしていますが、B社の場合はひょっとすると「耐震等級1」相当かもしれません。というわけで、これだけの情報では、A社とB社の耐震性の優劣を判断するのは難しいのです。けれども、B社よりA社のほうが信頼できそうな気がしますね。

住宅性能表示制度のメリットを享受するには、きちんと「認定」を受ける必要があります。しかし、費用や手続きの手間がかかるので、実際には認定を受けずにB社のような記載をしている会社もあるようです。

たくさんの情報を手に入れても、正確に「読み取る力」がないと、正しい判断はできません。脅かすわけではありませんが、B社のように「相当」と認定を取得していないことがわかる記載なら、まだ良心的なほうなのかもしれません。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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