クラリネット界のサラブレッド! アンドレアス・オッテンザマー
思わず引き込まれる、とろけるような甘く美しいクラリネット。そして「天は二物を与えず」というが、このアンドレアス・オッテンザマーには当てはまらない。父と兄が共にウィーン・フィルの首席クラリネット奏者という名門一家に育ち、自身は2011年3月に22歳の若さでベルリン・フィルの首席クラリネット奏者に就任。新生した人気木管五重奏アンサンブル・ウィーン=ベルリンのメンバーでもあり、更にアマチュアながらサッカーチームで活躍し、加えて、男前なルックスも活かしモデルの仕事もするという……。
ソリストとしての活動も活発で、ソロ・クラリネット奏者として史上初めて名門ドイツ・グラモフォンと専属契約を結び、2枚目のアルバム『ブラームス:ハンガリアン・コネクション』を発表。名曲として知られるブラームスのクラリネット五重奏曲と、ブラームスがハンガリー舞曲集で取り上げたハンガリー舞曲などを収録。2015年は三度三様で来日公演の予定があるという正に売れっ子、新時代のカリスマ・クラリネット奏者の彼に、クラリネット、アルバム、父兄との関係などを尋ねた。
クラリネット奏者になった理由
ガイド大塚(以下、大):いつからクラリネットを始めたのですか?アンドレアス・オッテンザマー(以下、オ):12歳です。
大:クラリネット一家に育ったからもっと早いのかと思ったのですが、そういうわけではないのですね。
オ:えぇ、スタートの年齢としては平均的でしょうね。それまではピアノとチェロを弾いていましたよ。
大:それらでも賞を獲ったりしていたそうですが、そんな中でクラリネットを始めたのはなぜです?
オ:自然に起こった気持ちからですね。
大:「家族がみんなクラリネットを吹いているから、自分はイヤだ」みたいにはならなかったですか?
オ:もちろんそういう可能性もありましたよね。ですけれど、とにかく音楽を楽しんでいたんですよ。そしてクラリネットを楽しんでやっていたら、ある段階で「自分はもしかしたら、そこそこ上手いかも、プロになれるかも?」と、そういう感じでしたね。やはり一番健康的な方法としては特に最初のうちに「こういうキャリアを築きたい」と思って始めるのではなくて「気が付いたらそうなっていた」というのが大事ですね。音楽作りを楽しんでいたら、であって、お金を得るために、ではないのです。
大:父兄は、あなたにとってどういう存在ですか? ライバル? 仲間?
オ:家族ですよ(笑)。ライバルと思ったことはないですね。確かに同じ職業に就いてはいますけれど、違うところで活躍していますし、違うことをやっている。また、一緒に演奏する機会もたくさんありますので、アンサンブルのメンバーでもあります。
大:お二人は尊敬するプレイヤーなのですね。
オ:もちろん!