恋が「素敵なもの」なのは過去のこと?
それでもあえて、「恋は素敵なことだ」と個人的には思う。つい先日、恋をしている男性たちと話をする機会があったのだが、彼らは純粋に恋を楽しんでいる。「相手の人生の背景を知って、それを共有するのがうれしい」
「男女差も個人差もあるから、ひとりの人を知るのは手間も時間もかかる。それでも、好きだなと思った人と、徐々に距離が近づいていくうれしさは、何にも代えがたい」
今や、男性のほうが「恋」ときちんと向き合っているような気さえしてくる。
そう、恋愛は手間と時間がかかる、ときには面倒なものなのだ。
その面倒さゆえに、かつては男性が恋から遠ざかっていた。だが、今は女性がそうなりつつある。
恋はめんどうくさいもの?
ちなみに、夫婦のセックスレスの理由も、女性の1位は「めんどうくさい」だった。
女性は気持ちがこまやかで、コミュニケーションをとるのが好きで、いつも誰かと一緒にいたがって、異性を好きになったら一途で……という「女はこういうもの」とする規定が、実はすべて思い込みや理想なのかもしれない。
どこにでもひとりで行く女性が増えた。映画にしろカラオケにしろ旅にしろ。わざわざ誰かと待ち合わせて、映画や芝居を観たあとにお茶の一杯も飲まなくてはいけなくて、と考えるとひとりで行ってしまったほうが楽なのだ。
「私もどこにでもひとりで出かけますよ。たまたま時間が合えば、友だちと一緒に行ってもいいけど、確かに待ち合わせとかめんどう。芝居だったらそれぞれがチケットを持って、現地集合ですね。お互いに時間があればそのあと食事をしてもいい。でも私もその後、会社に帰らなくてはいけないこともあるので、確約できないと言うしかない。それを繰り返していると、友だちと約束するのも気が引けちゃう」(37歳)
だからといって、友だちづきあいが薄くなっているわけでもない。
「いざとなったら助け合える友だちはいます。でも若いときと違って、いつも一緒にいなくてもいいかな。結婚していてもしていなくても、みんな忙しいから」(33歳)
女同士のつきあいが、一時期に比べてさらさらしている感がある。精神的に自立した女性が増えているのだ。恋愛に関しても同様なのだろう。つきあっている人がいると言う女性でも、関心はその恋愛自体より、むしろ自分の仕事や将来や趣味に向けられていることが多いと感じる。
個人的には、それでも異性と深い関係をもって、ときにはすったもんだして、まれには「生きるの死ぬの」と大騒ぎすることで、自分の欲望や他人の気持ちなどを知るきっかけになるような気がする。もちろん、そんなことが人生に必要かどうかはわからない。だが、人生から無駄を排除したら、楽しさも半減するのではないだろうか。
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※アンケート調査出典
「飲食事情」に関する調査