自分らしくいられる場所を見つけるということ
森で出会った“キット”が王子だとは知らぬまま、恋心を抱いたシンデレラ。一方、王子もシンデレラを探すために国中のあらゆる未婚女子を招待して舞踏会を開き、その人たちの中から妃を選ぶことを国王に約束します。王子の父は国民から信頼を寄せられている立派な王として描かれていますが、健康状態が思わしくなく、王子の幸せはもちろん王国の未来を気に病んでいます。「普通、王子なら王国にとって有益な姫と結婚するものだ」という現実的かつ保守的な家臣も、恋する王子の姿には否定的。
恋心は反対されればされるほど盛り上がりますし、「結婚相手の力がなければ王国を維持できない」と言われれば言われるほど、自分が未来の王としては未熟だと断言されているようなもの。
恵まれた環境で用意されたレールに従って育ってきた王子がシンデレラのことを諦めなかったのは、王としての自覚が芽生えたから。彼女と出会ったことで、伝統やしきたりに縛られるのではなく、自分らしく王としての使命を全うしたいと考えるようになったのです。
子供時代を過ごした家庭から新しい居場所を探すことが結婚のカタチとするなら、シンデレラは「自分を笑顔にしてくれた人」の隣に、初めて自分らしくいられる場所を見つけたといえます。そして王子は、「王子様」として振る舞わなくてもいい、ただ自分らしくいられる場所を彼女の隣に見つけたのです。これ、すごくシンプルだけど、大事なことだと思いませんか?
とくに王子の場合、自分の結婚相手になるために国中の女性が豪華絢爛めいっぱい着飾って、ものすごい戦略を練って自分を落とすために押し寄せてくるわけです。いくら結婚相手選び放題だとしても、楽しく踊ったり会話したりできるシンデレラを手放したくないという気持ちになるのは当然でしょう。
王子はシンデレラと出会ったことで成長、自立していく
人は、誰もが自分にとって居心地のいい場所を求めています。王子は自分の責任ある立場を理解しているからこそ、人生に対する前向きな姿勢を貫くシンデレラを諦めようとしなかったのです。自分らしく生きる勇気、ありのままの自分を見せる勇気が彼女の魅力を輝かせ、愛の奇跡を起こしたのでした。現代の女性が恋愛で陥りがちな「いい相手と出会えない」という悩みは、「居心地のいい場所から抜け出せない」とも置き換えられますし、「相手が結婚を決断してくれない」というのは、「自分の居場所はここだ!」という決定的理由が見つかっていないということでもあります。
進化を遂げた古典的ラブストーリーから愛の試練の乗り越え方を学んでみてはいかがでしょう。
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『シンデレラ』
監督:ケネス・ブラナー出演:ケイト・ブランシェット/リリー・ジェイムズ/ヘレナ・ボナム=カーター
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
公式サイト:Disney.jp/CINDERELLA
2015年4月25日(土)ロードショー