不登校経験があっても学校生活を楽しめる 69%
友だちや先生など人間関係の満足度が高い
「楽しい」(非常に楽しい、楽しい、どちらかといえば楽しいの合計)という回答を不登校経験の有無でみると、生徒では不登校経験あり69%、なし71%でそれほどの差は見られません。保護者は、あり64%、なし71%で開きが大きくなります。不登校経験のあるわが子が学校生活を楽しめているか不安な様子があります。
「楽しい」を入学形態で見ると、生徒では中学からの新入学者72%、いったん入学した高校からの転編入学者65%と後者が低くなります。保護者も新入学者69%、転編入学者61%となっています。
入学形態による楽しさ感は学年進行にも反映していて、生徒、保護者ともに1年生で「楽しい」が高く(生徒73%、保護者67%)、転編入学者の増える2年生で下がり(同65%、同64%)、3年生で再び上がる(同70%、同67%)という経過をたどります。
友だち、先生、人間関係で満足感
通信制高校の学校生活について満足と不満はどこかについて聞いてみました。満足している点のトップは、入学時の期待でもトップだった「高卒資格が確実にとれる」(生徒41%、保護者62%)です。
一方、不満点のトップはこの裏返しにあたる「高卒資格がとれるか不安」(同13%、同10%)となっています。レポート提出など中学時代までなかった学習を継続的に進められるかは不安要素になっています。ほかにも「集中スクーリングが面白くない」(同11%、同7%)というのも期待とのギャップを感じるものになっています。
保護者では、10%が「(子どもが)友だちをつくれない」と見ており、不満というより心配なところになっています。10%を超える不満点は少ないことから見ると、総じて満足度は高いと言えそうです。
「高卒資格が確実にとれる」を期待と満足の両面で見ると、生徒(期待50%、満足41%)、保護者(同72%、同61%)とともに期待が大きかっただけに満足感はそこまで至っていない様子があります。意外に高卒までの道のりは“厳しい”のです。
生徒、保護者で共通しているのは人間関係への満足感です。友だちについては、入学時は期待度が19%と低かった生徒も、学校生活を通じて「友だちがつくれた(31%)」と満足感がアップしています。「先生が親しみやすい」(生徒39%、保護者42%)も高い満足感を示しています。
親子で評価の分かれる「自由な時間」
期待以上に満足感の高いものとしては、「登校日が少ない」(生徒・期待34%、満足41%、保護者・同19%、同32%)「先生の親しみやすさ」(生徒・期待34%、満足41%、保護者・同41%、同42%)などがあります。生徒と保護者で異なるのは、「自由な時間が増える」という点です。生徒は、33%が満足しているのですが、保護者は17%と半分程度となっています。生徒は自由な時間が増えて急かされることがなくなったり、やりたいことに使えることに満足を覚えていますが、保護者は自由になった時間をわが子が十分に活用していないと見る傾向があります。
毎日決まった時間割で過ごしてきた経験しかない保護者にとって、自分のペースで学校生活を送れたり、登校日が少なくてすんだりする通信制の学校生活はイメージしにくい仕組みですが、新しいタイプの学校とみると通信制のメリットがけっこう見つかるものです。