ギターのチューニングをしよう
ここではギターチューニングの基本的なやり方と使用する道具、コツなどをご紹介します。
<目次>
- ギターのチューニングとは?
- そもそも、どうしてチューニングしなくちゃいけないの?
- いつ、チューニングをすればいいの?
- ギターの各弦の音名について
- ギターチューニングにも種類がある
- ギターチューニングのやり方
- ギターチューニングのコツ
- ギターチューニングに必要な道具について
- ギターチューナーの種類
- チューナーアプリ(スマホアプリ)について
- 音叉(おんさ)によるチューニング
- 道具が手元に何もないときのチューニングの仕方
- ギターチューニング まとめ
ギターのチューニングとは?
ギターの弦の張り加減を調整して6本ある弦をそれぞれ決められた音程を合わせる作業のことです。調弦(ちょうげん)とも言います。ピアノの場合は調律師といった専門家が定期的にチューニング(調律)を行いますが、ギターの場合は演奏するギタリスト本人がプレイする度に自分で音を合わせます。チューニングのチューン(tune)の語源は「tone」が変形したもので、「緊張」「音の調子」、という意味のギリシア語から来ています。ちなみに、打楽器のチューニングは、皮の張り加減をきつくしたりゆるめたりして音を調整します。
そもそも、どうしてチューニングしなくちゃいけないの?
チューニングを全くしていないギターでは、正しい音程で演奏することができません。また、一度合わせたギターでも弾き続けていると自然に弦の張り加減がずれていき、音程(ピッチ)が変わってしまいます。そのため、メロディを弾いてもコードを弾いてもどこか音が外れたおかしな音になってしまいます。一緒に演奏している他の人とも合わなくなってしまうので、アンサンブルにも支障がありますね。また、自分が弾いている音がずれていることに気づかないで弾き続けていると、音感が身につかずギター上達も遅れてしまうので、正しいチューニングを身につける必要があります。
いつ、チューニングをすればいいの?
ギターというのはとても繊細な楽器。厳密に言えば、弾く度にわずかに音がズレていきます。また部屋の温度にも敏感で、室温が高い(暑い)と弦が緩んで音が低くなり、逆に室温が低い(涼しい、寒い)と弦が締まって音が高くなる傾向があります。とは言え、あまりにも神経質になっていては何も演奏できなくなってしまうので、まずはギターをケースから出して演奏する前に一度合わせたら、しばらく弾いたらもう一度。音がズレているように感じたらいつでもチューニングを確認して微調整をしていくのがいいでしょう。
ギターの各弦の音名について
ギターの最も基本的なチューニングはレギュラーチューニング(標準チューニング)と呼ばれるものです。ギターの弦は一番太くて低い音が出る6弦から一番細くて高い音が出る1弦まで E・A・D・G・B・Eという順に並んでいます。アルファベット読みでそれぞれイー、エー、ディー、ジー、ビー、イーと読みます。
6弦 E(読み方:イー、ミの音)
5弦 A(読み方:エー、ラの音)
4弦 D(読み方:ディー、レの音)
3弦 G(読み方:ジー、ソの音)
2弦 B(読み方:ビー、シの音)
1弦 E(読み方:イー、ミの音⇒6弦のEより2オクターブ高いミの音です)
後述しますが、これらを半音、または一音下げてチューニングし、より低音を活かした演奏をする場合もあります。
ギターチューニングにも種類がある
ギターの各弦をどの音程に合わせるかによって、チューニングにもいくつかの種類があります。■レギュラーチューニング
上述の最も基本的なチューニングです。通常、ギターの5弦の音を「基音(きおん、基となる音)」としてA=440ヘルツに合わせます(一緒にやる楽器により変わる場合もあります)。
■半音下げ・一音下げチューニング
標準より低い音に設定することで重低音が強調でき、ヘヴィな感じが出るので、ロックやヘヴィメタルなどに多くみられます。一方、標準よりも高くすることはほぼありません。
■オープンチューニングなど
ギターは何も押さえない「開放弦(かいほうげん、オープンストリングともいう)」の響きが魅力的かつ演奏が容易になるため、何も押さえない状態でジャラン~と鳴らした時に特定のコードサウンドになるようにチューニングすることがあります。メロディも伴奏も一人で同時に弾きこなす「ソロギター」や、自分で伴奏しながら歌う「ブルースギター」といったスタイルでよくみられます。
レギュラーチューニングに比べて変則的な音の並びになっているため「変則チューニング」と呼ばれることもあります。利点は何も押さえなくてもコードが鳴り、簡単な押さえ方で演奏できることですが、一方でどこにどの音があるのかが変わってしまうので、慣れないと演奏しにくいです。
曲によってチューニングを変えるギタリストも多く、ライブ演奏においては複数のギターをステージに準備しておき、曲が変わる度に持ち替えて演奏したりします。
まずはレギュラーチューニングをしっかり覚え、慣れてきたら好きなギタリストがその他にどんなチューニングを好んで使っているのか調べて真似してみてください。
ギターチューニングのやり方
ギターの種類によってもやり方は若干違ってきますが、どのギターでも共通する基本動作は、「ペグを回して弦の張り加減を調整し、音程をあわせること」です。弦をきつく引き締めると音は上がり、逆に緩めると音は下がります。チューナーを使ってチューニングする時は、ギターの開放弦を鳴らしながら、アナログ針やデジタル表示のメーターで今鳴らしているギターの音が目的の音より高いか低いかみながらペグを回して調整していきます。
初心者のうちは、ペグを回しながら自分が弦を締めているのか緩めているのかわからなくなり、まだかまだかと過剰に締めすぎて弦が切れてしまう……ということがあります。弦の張り加減がどのように変わっていくのか、弦を手で触って確かめながらゆっくりとやりましょう。
ペグをまわして音を合わせます
ストラトタイプのエレキギターは1方向にペグがついているので回す方向が同じですが、レスポールタイプ、フルアコ、セミアコ、アコースティックギター全般はヘッドの左右にペグが分かれているため、左右でペグをまわす向きも逆になるので注意が必要です(写真参照)。
ギターチューニングのコツ
ギターは演奏しているとピンと張った状態からだんだん緩んできます。ですので、チューニングをする時は各弦ともに最後は弦を「巻き上げて」チューニングを終えるようにしてください。これを「上げチューニング」と呼び、チューニングが狂いにくくするコツのひとつになります。弦を巻き上げると音は上がりますので、もし基となる音よりも既に音が高すぎる状態からチューニングする時は、一度基となる音よりも低い音に下げてから巻き上げて調整するようにします。逆に緩める方向でチューニングを終えてしまうと、そのままどんどん弦が緩みやすくなるので音が狂いやすくなります。
また、各弦をチューニングしていると、最初にチューニングしたはずの弦がズレていることがありますが、それは普通のことです。なぜなら、1本の弦を調整することで他の弦の張りにも影響が出るから。ですので、チューニングは1回だけやって終わりではなく、すべての弦をチューニングしたら初めに戻り、ズレがなくなるまで微調整を繰り返すことになります。
ギターチューニングに必要な道具について
チューニングに必要なものは「ギター本体」と「チューナー」です。チューナーとはチューニングをするための機器で、様々なタイプがあります。エレキギターの場合はギターとチューナーを接続するためのギターシールド(ギター用のコード、ケーブルのこと)も必要です(クリップ型チューナーをのぞく)。ケーブルでつないだ場合、ギター本体のボリュームを上げてチューニングします。チューナーが反応しない場合、ボリュームが上がっているか確認してください。
■チューナーを使ったチューニングの方法
ここでチューナーを使ったチューニングの方法を動画でみてみましょう。
ギターチューナーの種類
様々な種類があるチューナーの中から、初心者向けに使いやすい主なものをご紹介します。■クリップチューナー
初心者に最もオススメのギターチューナーです。
KORG / SH-CS100 Sledgehammer Custom Shop Limited Series 高精度クリップチューナー コルグ
ギターのヘッドにクリップではさむだけで使えるタイプのチューナーです。エレキギターでもアコースティックギターでも変わりなく使用できます。価格も手頃で各メーカーから様々な種類が出ています。とても軽量で小さいので目立ちにくく、ギターに取り付けたままプレイすることもできます。このタイプのチューナーは音を「震動」で拾うので、まわりで他の人が音を出していても影響を受けずに音合わせができるというメリットもあります。また音を出してはいけないライブの合間などでも、ボリューム0の状態でチューニングが確認できるので大変便利です。
中には6本の弦をいっぺんに鳴らしてどの弦が高いか低いかを一度に確認できるものも出ています。元々は後述の「ペダル型」として発売され、画期的だと話題になった大ヒットチューナーのクリップタイプで、高い評価を得ています。
■カード型チューナー
クリップ型チューナーが登場するまでは、チューナーといえばこのタイプでした。電卓や小さめの筆箱くらいの手のひらサイズで、アナログ針のものと液晶表示のものがあります。また、メトロノーム機能がついたものもあります。
チューナー本体に内蔵マイクがついていて、楽器の音を拾ったり、シールドでギター本体をつなぐことでエレキギターのチューニングができます。内蔵マイクを使う場合はまわりの音も拾ってしまうので、他の人が音を出しているとチューニングできません。エレキは線をつながないと使えません。
■フットペダル式チューナー
ステージやスタジオで足元に置き、スイッチを足で踏んで操作します。暗いところでも見やすいため、ライブでも使いやすいのがこのタイプです。
■ラックマウント式チューナー
さらに「ラックマウント式」というタイプもあります。使い方はとてもシンプルですが、比較的上級者~プロ向けで、初心者が初めに手に入れる類のものではありません。スタジオの壁面などに設置されていることがあるので、みかけたら試してみるのがいいでしょう。
KORG 軽量・薄型ラックマウント・チューナー ギター/ベース用 pitchblack PRO PB-05
以上の通り様々な種類がありますが、結論を言えば、初心者が最初に手に入れるには「クリップ式チューナー」が最もオススメです。
なお、チューナーは運搬時、ケースやバッグの中でスイッチが入ってしまい、使おうとした時に電池が切れてしまっていた、ということがよくあります。チューナーには9V(ボルト)電池やボタン電池などが使われていることが多いので、出先ですぐに入手できないことも少なくありません。必ず予備の電池を用意しておくと慌てずに済みます。
チューナーアプリ(スマホアプリ)について
ギターチューナー機能を持つiPhoneやAndroid用のアプリもたくさん出ています。ものによって使い勝手がかなり違うので、興味があればいくつかダウンロードして試してみることをオススメします。価格はほとんどが無料、有料であっても数百円程度と手頃です。iPhoneやiPadならAppStore、AndroidならGooglePlayにアクセスし、「ギター チューナー」などと検索すると、いくつもの種類のチューナーアプリが出てきます。チューナーアプリはさまざまな種類があり、デザインも異なりますが、向かって左側が低い音、右側が高い音、というのはどれも共通しています。
チューナーアプリを初めて使う時は、このようなメッセージが出て来ることがあります。
アプリが機器のマイク機能を使用する許可を求めてきます
その際は、「アクセスを許可する」を選んで先に進みましょう。
以下、たくさんの種類があるチューナーアプリの中から人気があるものをいくつかご紹介します。
■guitar tuna(ギター・チュナ)
数あるギターチューナーアプリの中でも、イチ押しはこちらの「guitar tuna」。もととなる音より音が高すぎれば「高すぎる!」、低すぎれば「低すぎる!」と画面にメッセージが表示されます。そして音がピッタリ合うと、可愛らしくポロンと音が鳴り、合わせている音のアルファベットがポップアップ。この上なくわかりやすくチューニング完了を知らせてくれます。
guitar tunaでチューニングしているところ
■Guitar Tuner
「Guitar Tuner」は凝ったデザインが印象的なチューニングアプリ。文字盤が小さくなるので、画面の小さい機種では若干見づらいかもしれません。使い方は、「Standard」と書かれたボタンをタップすると、チューニングの設定が変更できます。多くのアプリがこのように変則チューニングにも対応しています。
変則チューニングにも対応。
■BOSS TU-3 Chromatic Tuner(下写真・左)
BOSSのクロマティック・チューナーのアプリ版。
■Guitar Tuner(下写真・右)
非常にシンプルなチューナーです。どの弦を合わせているのか、視覚的によくわかりますね。
個性的・特徴的なデザイン。
■Tuner Light (下写真・左)
アナログ針を模倣したメーターデザイン。
■n-Track Tuner(写真・右)
Tuner Lightとは対照的に、デジタル波形が特徴的なチューナー。 アナログ派 VS デジタル派、好みも分かれるとこです。
左:Tuner Light 右:n-Track Tuner
この他にもたくさんのチューナーアプリが出ていますので、ぜひ実際に試してお気に入りのチューナーアプリを見つけてみてください。
チューナーアプリのメリット
- デザイン性・精度ともに水準が高い。
- アプリをアップデート(更新)することで、いつでも最新の機能が使える。
- チューナー以外の機能(メトロノーム、コードチャート、録音、作曲支援、再生速度調整機能など)も充実しているものがある。
チューナーアプリのデメリット:
- スマホが充電されていないと使えない。
- いざという時、何らかの理由でフリーズして動かなくなる可能性がある。
- チューニング中に電話がかかってきたり、他のメールやSNSアプリからの通知が入ってくる場合がある(通知機能はオフにしておくといいでしょう)。
音叉(おんさ)によるチューニング
音叉は、たたくといつも同じ音(特定の周波数の音)が鳴る、長細いU字型に持ち手のついた金属製の道具です。ギターチューニング用にはA=440の音叉を使用
ギターのチューニングにおいては、A=440ヘルツの音が出る音叉を使用します。音叉の二股に分かれたU字型の部分を軽くたたき、間髪入れずに持ち手の端にある玉の部分をギター本体に当てるか、前歯で音叉の持ち手の端をくわえると、骨伝導で基準音が顔面~頭蓋骨に響いてきます。この震動とギターの5弦の開放弦(何も押さえないで5弦をはじいた時の音)がぴったり合うようにペグを回して調整します。
実際に音叉の音と5弦の開放弦の音はオクターブの違いがあるため、「ハーモニクス」という倍音を使った方がチューニングしやすいですが、初心者の場合はハーモニクスの出し方自体が難しい場合があるため、ここではハーモニクスは使わずに開放弦の実音を使うことにします。
この5弦の音を基にして、その他の弦のチューニングを行います。
手順は以下の通りです。
音叉の音(A)と5弦の開放弦の音をぴったりと合うように5弦のペグを回して調整する(上述)
この5弦の開放弦を鳴らしてその音と6弦の5フレットを押さえて弾いた音が同じになるよう調整する
5弦の5フレットを押さえて弾いた音に合わせて4弦の開放弦を調整する
4弦の5フレットを押さえて弾いた音を弾いてその音に合わせて3弦の開放弦の音を調整する
次に3弦の「4フレット」を押さえて弾き、その音に合わせて2弦の開放弦の音を調整する
最後に2弦の5フレットの音を弾いてその音に合わせて1弦の開放弦の音を調整する
つまり整理すると、
↓ ↓ ↓
5弦の開放弦を音叉の音(A)に合わせたら、
6弦5フレット と 5弦の開放弦(A)
5弦5フレット と 4弦の開放弦(D)
4弦5フレット と 3弦の開放弦(G)
3弦4フレット と 2弦の開放弦(B)
2弦5フレット と 1弦の開放弦(E)
を合わせていくことになります。
3弦と2弦を合わせる時だけ5フレットではなく、4フレットになることに注意してください。
道具が手元に何もないときのチューニングの仕方
チューナーも音叉もスマホも手元にないときは、どうしたらよいでしょうか?そんな時は、一緒に演奏する人から楽器の音をもらってそれに合わせてください!相手がギタリストなら「5弦ください」といえば、5弦の開放弦の音のA(ラ)の音を鳴らしてくれるでしょう。相手がピアニストなら「Aの音をください」といえば、基準音のA(ラ)を弾いてくれるでしょう。その音に自分のギターの5弦開放弦の音を合わせたら、音叉でチューニングした時と同様に他の弦のチューニングをしていきます。
慣れないと、自分が出している音が基となる音に比べて高いのか低いのかすぐにわからないことがあります。そんな時は少し思い切って弦を緩め、そこからペグを巻き上げながら、ウォ~ン、と鳴っている音がぴったりと合う瞬間を狙います。2つの音がぴったり合う瞬間は独特な感覚があるので、これを実際に体験して身につけていってください。
ギターチューニング まとめ
ギターのチューニングについて解説を進めてきました。いかがでしたか?チューニングは、ギター演奏の基本中の基本です。チューニングがしっかりできていれば音程が定まり、引き締まったプレイができます。一方でチューニングが甘いとどうでしょう。いくら練習して素早く手指を動かせるようになったとしても、調子っぱずれな「音痴」に聴こえてしまいます。悲しいですね。
チューナーや音叉などでチューニングしたら、よく知っているコードを弾いて音の響きを自分の耳でしっかり確かめるようにしましょう。そうすることで次第に耳が良くなり、少し音がズレてきた時にもすぐに気がつくようになります。そのことが、ギター上達に大きくつながっていきます!
正しいチューニングを身につけて、さらにギターを楽しんでくださいね。
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