お金を下ろすのが面倒な口座はこれだ
さてお金を下ろすのが面倒な口座はどのようなものがあるでしょうか。定期預金は一番シンプルな「下ろすのが面倒な口座」です。普通預金残高を定期預金に移すだけで金利が上がりますが、満期まで持つことで高金利になる仕組みです。解約時には基本的に店頭に並ぶ必要があり、下ろすのが面倒な仕組みです。
証券口座も「下ろすのが面倒な口座」の代表格です。投資信託や株式は売却して現金受取するまで数営業日かかります。その後銀行口座にお金を移す指示を出しても翌日になったりします。解約が面倒だからとお金を崩すことがガマンできれば、お金は減らずにすむわけです。
会社の制度で財形貯蓄がある場合、これも「下ろすのが面倒な口座」です。給与から毎月自動的に積立をする財形制度は、解約時には社内手続きが必要です。書類を作って上司のサインをもらったりする面倒がイヤで解約をガマンするなら、お金を崩さずにすみます。家を買うときなど本当にまとまったお金が必要なときに解約手続きをすればいいのです。
会社の退職金や企業年金も、辞めるまで(あるいは60歳まで)受け取れない強制貯金のようなものです。働いている限り、解約できないわけですが、仕事をしているなら給与がもらえますからガマンすることは難しくありません。むしろ定年後の備えが下ろされずに蓄えられていくわけです。
実は国の年金制度も「下ろすのが面倒な口座」の一部です。会社員夫婦であれば平均的に4000~6000万円くらいになる年金受取額を個人ベースで貯金するのは困難ですが、就職してから定年退職するまで毎月払う保険料で将来の年金の権利を手に入れているのです。
面倒もときには良いことである
いくつか「下ろすのが面倒な口座」を紹介しました。お金を貯めたい、と思っている人はぜひ下ろすのが面倒な口座を作って活用してみてください。毎月給与の一定額を積立定期預金として、定期預金口座に入金し続けていくことや、ボーナスや毎月の給与の一部を証券口座に入金して投資をすることは、もともとお金を貯め増やしていくための重要な方法です。
もしかしたら便利が増すほど、個人はその負担をしており、個人はむしろ損をしているかもしれません。便利で一番儲かっているのは金融機関だとしたらどうでしょうか。
「便利ではない」ことがお金を貯めるきっかけになるとしたら、便利を追求する今の時代にこれほど愉快なことはありませんね。