人々を惹きつける“最終回”にはどんなルールがあるのか、考えてみました。
主人公たちの変化と成長を確認する最終回
最終回では”変化”を浮き彫りにすることが多いように思います。その変化は様々です。たとえば、ちょっと成長した主人公を描く。いろんなことがあったけど、きっと私は成長したのだと未来に向かう自分を発見する最終回。また、ガラリと変わる環境(引っ越しなど)で、主人公の新しいスタートを描く最終回もあります。
一方で、結局のところ何も変わらないねと主人公が満足そうにつぶやく最終回もあります。しかし、それでも視聴者には“少しは変化している”ことが感じるように演出されており、最終回の上級編と言えそうです。
『カバチタレ!』では田村希美(常盤貴子)と栄田千春 (深津絵里)の掛け合いに笑いながら、ちゃんと前に進んでいることを感じ、なんだか嬉しくなりました。最終回を気負うことのない心地よさを感じます。“わかりに くい最終回”より、“わかりやすい最終回”の方が支持されているのかもしれません。
日常を取り戻す最終回
過酷な現実に振り回されながら、最後に日常を取り戻す最終回も少なくありません。晴れ晴れとした気持ちで終わる風景は、視聴者の気持ちも晴れ晴れとさせてくれて、そんな最終回にはホッとさせられます。『流星ワゴン』では潮風に包まれた海辺の町で前を向く登場人物たちの笑顔が印象的でした。『HERO』は並木道に始まり並木道で終わり、実に爽やかです。
なかでも、“朝の連続テレビ小説”の最終回は晴れ晴れした風景、晴れ晴れした日常を描く、“最終回の王道”とも言える構成が目立ちます。『ごちそうさん』では、主人公のめ以子(杏)が戦争からやっと帰って来た夫の悠太郎(東出昌大)と、チョコレートを食べ、『あまちゃん』では北三陸鉄道の運転が再開され、町中の人が喜びました。