投手から野手に転向した選手たちに注目が集まっている。
その大谷より早く決断をくだし、投手ではなく野手に転向した男たちが今年はとくに注目を集めている。
高校生No.1左腕から野手に転向、ベストナインにも選ばれる
まずは、ヤクルトの雄平外野手(30)だ。2002年のドラフトでヤクルトに1位指名された高井雄平。高校生No.1左腕といわれ、1年目に5勝を挙げ、順調なプロスタートを切った。ところが制球難に苦しみ、伸び悩み、2010年から野手に転向。「とにかく(バットを)振りまくりました」と死にものぐるいで練習に打ち込み、2013年に開幕レギュラーの座を掴むまでに成長した。昨季、野手転向後初めてフルシーズンを戦って、打率.316、23本塁打、90打点の好成績をマークし、ベストナインを受賞。今季は昨季以上の活躍が期待される。
“渡辺久信二世”は毎日1700スイングで強打者に
2006年の高校生ドラフト1巡目で西武に入団した木村文紀外野手(26)は、当初与えられた背番号41でわかる通り、元西武のエースだった渡辺久信二世と期待されていた。しかし、右ヒジの疲労骨折や交通事故によるむち打ち、腰痛など度重なるケガに見舞われ、プロ6年間でわずか1勝。2013年から心機一転、野手に転向した。毎日1700スイングを課し、手の皮が剥けてもバットを振り続けた結果、昨シーズン100試合出場を果たし、10本塁打、27打点をマーク。持ち前のパンチ力に磨きがかかれば、レギュラー獲得も夢ではない。
日本一に貢献した投手は、27歳からの再起にかける
楽天の片山博視投手(27)は今季から内野手に転向する。2010年から中継ぎとして2年連続50試合以上に登板し、2010年には防御率1.88をマーク。2013年の日本一にも貢献した投手の1人だったが、左ヒジを故障して野手への転向を決意した。雄平や木村よりも遅い、プロ入り10年目、27歳にしての転向だが、報徳学園時代から“バッター向き”といわれ、野村克也元監督からも打者転向を勧められた経緯がある男だけに、再出発が功を奏するかもしれない。じつはイチローにも投手として活躍していた時期が
もともと投手で、プロ入りしてから転向して成功した代表例は、オリックスの糸井嘉男外野手(33)で、昨季はパ・リーグの首位打者に輝くなど日本一の打者に登り詰めた。また、ご存知イチロー(現マーリンズ)も愛工大名電時代、松井稼頭央(楽天)もPL学園時代までは投手だった。キャリアの中で“第2の野球人生”を歩み出して成功した選手もいることが、彼ら背中を後押しする。