夫婦の価値観はそろえなくていい!
子育てに関する価値観が夫婦で食い違うということはよくあります。そりゃそうです。お互いまったく違った環境でまったく違ったように育てられた赤の他人ですから。好みが似てるということはあっても、価値観が一致するなんてことは、子育てにかかわらず、そうそうありません。もしパパとママの価値観が完全に一致していたら、子供の価値観も両親の価値観に完全に一致してしまうでしょう。クローン人間家族になってしまいます。子供の個性が育つ余地がありません。
両親の価値観に違いがあるからこそ、その幅の中で子供は自分の個性を形成することができます。「これについてはパパの考えに近いな」「これについてはママの考え方のほうがしっくりくるな」みたいに、無数にあるいろいろなことに対する自分なりのスタンスを、パパとママの価値観の間で選択することで子供の個性が形成されます。
両親の価値観の幅は広ければ広いほど、子供の個性の幅も広がる。両親の価値観の違いは子育ての奥行きだと考えるといいでしょう。
矛盾の中で子どもは育つ
大家族での生活があたりまえだった時代には、両親だけではなく、おじいちゃんやおばあちゃん、親戚のおじさんやおばさんまで同居しているということも少なくなかったでしょう。きょうだいも大人数だったはず。ご近所さんも勝手に家に入ってきて、いっしょにおせんべいを食べているみたいな。昔の子どもはそういう環境で育ちました。そういう環境には、常にいろいろな価値観が入り乱れます。お父さんはダメだと言うことも、おじいちゃんはいいと言ったり。お母さんは食べさせてくれないおかしをおばちゃんは食べさせてくれたり。多様な価値観の中で、子供は個性を形成することができました。たくさんの価値観がある家の中というのはそれだけリッチな生育環境なのです。
夫婦の価値観は違っていい。子供は矛盾の中で成長する
現在は核家族が多いので、昔の長屋暮らしのようなリッチな生育環境は望めません。しかしせめて夫婦の間には、価値観の多様性を担保したいものです。だから、夫婦の価値観は違っていいのです。
決断をスムーズに下す秘策とは?
ただし、たとえばどこの幼稚園にするかとか、お受験はさせるのかとか、期日の決まっていることを決断しなければいけないときに、意見がまとまらないから決断できないというのでは家庭の運営に支障を来します。こういう事態に陥らないようにするためには、「家電選びはママ」「家具選びはパパ」「子供の習い事のことはママ」「子供の勉強のことはパパ」などと、領域ごとに、どちらが最終判断をするのかを、予め決めておくことがおすすめです。
ただし、最終判断者に任命されたからといって、好き勝手に選択していいわけではありません。必ずもう一方の意見を聞いて、それを最大限に尊重したうえで、自分の責任で最終判断を下すのです。そして一度決断したら、お互いにいいっこなしというのも大切なルールです。
お互いに妥協して、折衷案を選択するというのはあまりおすすめできません。結局どちらも納得できず、どちらも責任を相手に押し付け合うことになりがちだからです。
実は「正反対」なんかじゃないケースも多い
ところで、「私たち夫婦は正反対」というセリフ、よく聞くのですが、客観的に見ていると瓜二つみたいな夫婦、たくさんいます。彼らは本当に「正反対」なんでしょうか。たとえば、子供服を買うとき。セーターを買おうというところまでは一致していて、このメーカーのこのデザインのがいいよねというところまでも一致しているのに、最後の最後で、ママは「赤がいい」と言い、パパは「白が似合う」と言うみたいな状況って、客観的に見たら「正反対」ではありませんよね。むしろ「9割一致」って感じです。
子育ての方針にしても、「たくましく育ってほしい」とか、「個性的に育ってほしい」とか、基本的な部分は一致したうえで、最後の最後の部分で意見が合わないことを「正反対」と思い込んでしまってはいないでしょうか。
人間には悪い癖があります。「当たり前」と思っているものは見えなくなってしまうのです。夫婦の間に「当たり前」になっている共通の価値観がたくさんあればあるほど、客観的に見たら些細な違いが、大きな違いに見えてしまうことがありますが、実はそれ、錯覚なのです。
だから、ときどき夫婦に共通する「当たり前」を再確認してみるといいと思います。そうすれば、「私たちって結構似てるよね」ってことに気付けるはずです。
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