十二夜=シェイクスピア最後の喜劇
『十二夜』という作品名を聞いた事はなくても、シェイクスピアの名前を知らない人はいない筈。今回ご紹介する『十二夜』は、未だその素顔がベールに包まれる偉大な劇作家・シェイクスピアが書いた”最後の喜劇”なのです。(写真提供:東宝演劇部)
双子の兄妹、セバスチャンとヴァイオラが乗った船が嵐に巻き込まれ、イリリアの沖で遭難する。船長(宮川浩)に助けられた妹・ヴァイオラ(音月桂)は身の安全の為、男性と身分を偽り、イリリアの公爵であるオーシーノ(小西遼生)に小姓・シザーリオとして仕える事になる。
そのオーシーノは父と兄を亡くし絶望の淵に居る伯爵家の娘・オリヴィア(中嶋朋子)に恋をしているのだが、なかなか良い返事が貰えない。そこでお気に入りの小姓であるシザーリオを使って彼女の気を引こうとするものの、オリヴィアはシザーリオに惹かれ、(シザーリオとして男装している)ヴァイオラはオーシーノに恋心を抱く。
一方オリヴィアの執事・マルヴォーリオ(橋本さとし)はオリヴィアの叔父、サー・トービー(壌晴彦)らの策略で、オリヴィアが自分に気があると思い込み、突拍子もない行動に出て正気を失ったと誤解され、事態は益々混乱する。
そんな中、ヴァイオラの生き別れの兄・セバスチャン(音月桂・二役)がイリリアの町に現れる。彼もまたアントーニオ(山口馬木也)に助けられていたのだった。ヴァイオラとセバスチャン……そしてオリヴィアとオーシーノ。恋に混乱する若者たちと、彼らを取り巻く人々の運命は如何に……。
(写真提供:東宝演劇部)
本作を演出するのはご存知、ジョン・ケアード氏。英国RSC(ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー)のアソシエイト・ディレクターでもある氏が今回とことん拘ったのが”リアルである”という事。時代や国は違っても、そこに存在する人間の感情が丁寧に描かれているので、2015年に生きる私たちも『十二夜』の登場人物たちに共感し、心震わせられるのです。
『十二夜』で最も大切なモチーフの1つが、そう……恋愛。登場人物の多くが誰かに恋をしているのですが、それらは全て片思いの”恋”ばかり。そこに”勘違い”や”迷い””行き違い”という喜劇のエッセンスが足され、ますます恋の糸は絡まっていきます。
ではそんな『十二夜』の舞台に登場する魅力的な出演者の皆さんを次のページでご紹介していきましょう。
⇒ 次ページへ ←クリック