40歳定年制で必要な『学び直し』とは?

何をどう学べばいい?

何をどう学べばいい?

働く環境が大きく変わりつつある今、ふと気づけば、自分のスキルが“錆びついた刀”になっているケースも――。予測の難しい時代といわれる今、私たちはどんな風に働き、どのようにスキルを伸ばしていけばいいのか…。“生き残る人”になるための方法を、「40歳定年制」を提言している東京大学大学院の柳川範之教授が指南します。(第3回目インタビュー『「40歳定年制」は、私たちの働き方をどう変える?』から続きます)

――“学び直すといっても何をどうすれば分からない”と言う人も多いと思います。どんな風に、何を学ぶのが効果的でしょうか?

柳川教授 学び直しというと、まったく新しいことをするという風に捉えられがちですが、必ずしもそれだけはないと思うんですね。大部分の人は今の仕事の延長戦で考えるほうが建設的です。私が考える一番良い方法は、これまでの経験をきちんと整理することです。

――経験を整理するというのは…?

柳川教授 いくら経験を積んでいても、それがきちんと整理されていないと、十分な武器にはなりません。ですから、いったん自分の情報や知識を棚に整理してあげるのです。いわゆる“キャリアの棚卸し”ですね。そうすることで、“こういう時にはこのスキルを使えばいい”ということが分かります。整理すると、スキルとしての輝きようも違ってきます。

それは、その先仕事をしていくなかで非常に大事だし、また、転職を考えた時にも大きな意味を持ちます。転職する時というのは、今までのスキルと能力が通用しなくなるような気がするものです。ですが、それはそう見えるだけにすぎません。スキルを整理しておくと、こういう時にはこういう人に聞けばいい、こんな風にすればいいと、解決の仕方が分かる。どんな場所でも使えるスキルになるわけです。

もうひとつの学び方としては、今の仕事の関連分野を学んでキャリアの幅を広げておくそのために必要なのが時間であり、そして学問です。

――学問とビジネスが、どうつながるのですか?

柳川教授 そもそも学問は、そういったいろんな経験を整理して体系化したものです。かけ離れているように感じるのは、日本の教育制度の欠点ですね。どうしても学生時代の詰め込み式のイメージで考えてしまうから、ビジネスとは全然遠い話にみえますが、実はそんなことはありません。実際、社会人経験を積んだ人が大学の講座などを聞いてみると、“非常にすっきりした”“自分のやってきたことが整理できた”と納得する人が多いです。

――大学やビジネススクールに通うのは、なかなか敷居が高い印象があります。

柳川教授 
そこは、私たちも変えていかないといけないと思っています。そして、大学なり教育機関が社会人のスキルアップをケアしていく。会社側もそういったことを従業員に気づかせてあげるような仕掛けを作ることが必要になってくるでしょう。とはいえ、そういったシステムが整うことを待っていては、変化のスピードに間に合わないので,自分から踏みださないといけません。あらためて学びなおす、スキルを整理して自分の能力はどういうものか。欠けている部分は何かを知って強化する。そういう機会が必要です。

★次回は今からやるべき行動についておうかがいします!

教えてくれたのは……
柳川 範之(やながわ のりゆき)さん

undefined

 

1963年生まれ。東京大学経済学部・東京大学大学院経済学研究科教授。研究分野は金融。父親の仕事のためシンガポールの小学校を卒業し、高校時代はブラジルで過ごす。大検を合格後、慶應義塾大学経済学部通信教育課程卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了というユニークな経歴の持ち主。「40歳定年制」の発案者として『40歳からの会社に頼らない働き方 』(ちくま新書)が話題に。近著『東大教授が教える独学勉強法』などで、勉強することの楽しさを伝えている

取材・文/西尾英子

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。