新監督のサッカーは日本人にマッチする
クラブレベルではフランスで実績をあげた。1980年代前半に、リーグ得点王に2度輝き、最優秀外国人選手も2度受賞。1970年代から80年代の旧ユーゴスラビアで、大きな成功を収めた選手として知られている理由である。
指導者としてはモロッコ、フランス、トルコ、サウジアラビアなどのクラブを率い、2008年から10年にかけてコートジボワール代表の監督を務めた。その後は再びクラブチームを指揮するが、2011年6月にアルジェリア代表監督に就任する。契約期間は3年――14年のブラジルW杯へ向けて、チームを強化するのが彼のタスクだった。
ブラジルW杯で見せたサッカーは、確かなインパクトを記した。戦術的柔軟性と規律、さらにはハードワークを兼備したチームは、同国史上初のグループステージ突破を果たす。ドイツとの決勝トーナメント1回戦では延長戦までもつれる死闘を演じ、世界チャンピオンとなる大国に執拗なまでに食い下がった。ドイツを上回る走行距離を弾き出し、称賛の拍手を浴びて大会を去ったのだった。
テクニックに優れた選手が多いことから“東欧のブラジル”と呼ばれた旧ユーゴスラビアにルーツを持ち、現代のトレンドであるハードワークを追求するハリルホジッチのサッカーは、技術と運動量の融合だ。その意味では、日本人に合っていると言うことができる。
求められる世代交代
気になるのは選手選考だろう。初陣となる3月27日のチュニジア戦に、ハリルホジッチは誰を選ぶのだろうか。ハビエル・アギーレ前監督は、ブラジルW杯のチームをほぼそのまま引き継いだ。就任から間もない今年1月のアジアカップで、結果を残すためだった。
ハリルホジッチも6月に公式戦を控える。2018年のロシアW杯アジア2次予選が開幕するのだ。
予選の組み合わせは4月14日まで待たなければならないが、国際サッカー連盟(FIFA・フィファ)のランキングによってシードが決定する。3月12日発表の最新ランキングで、アジア勢はイランが42位、日本が53位、韓国が56位、オーストラリアが65位となっている。ランキングの上位同士が2次予選から対戦することはないので、いきなり苦戦するとは考えにくい。
2018年のロシアW杯を念頭に置いて、世代交代をはかりながら結果を追い求めていく猶予があるのだ。
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