Jリーグで活躍する注目の5人
ここでは25歳以下に絞り込み、代表入りが期待される5人を紹介する。アギーレ前監督の指揮下でチャンスを与えられなかった選手では、FW宇佐美貴史(22歳)の招集が望まれる。J1リーグ、リーグカップ、天皇杯の3冠王者として新シーズンに臨んでいるガンバ大阪で、宇佐美は圧倒的な存在感を放っている。ゴールへの最短距離を突き進むドリブルは、アルペンスキーのスラローマーのようだ。センスと落ち着きを感じさせるシュートも、このところ射程距離を広げている。代表で試すべき選手である。
アギーレに抜擢されたふたりも、日本代表の新しい「顔」となっていかなければならない。MF柴崎岳(22歳)とFW武藤嘉紀(22歳)だ。
名門の鹿島アントラーズで主軸を担う柴崎は、パスセンスとシュート力を兼ね備えた中盤のオールラウンダーだ。ピッチを俯瞰しているかのような空間察知能力は、しばしば決定的なシーンを生み出す。1月のアジアカップでは途中交代のカードとして使われたが、スタメンに食い込んでいかなければいけない選手だ。
昨シーズンのJ1で13ゴールをあげた武藤は、今季の開幕戦でいきなり2ゴールを叩き出した。FC東京の前線を担う22歳は、スピード豊かなドリブルと迷いのないフィニッシュを持ち味とする。コンタクトプレーの力強さも増しているだけに、国際舞台でさらに才能を刺激したい。
2016年のリオ五輪出場を目ざすU-22(22歳以下)日本代表からも、二人の選手をあげたい。岩波拓也(20歳)と遠藤航(22歳)だ。
ヴィッセル神戸に在籍する岩波は、186センチの恵まれた体格が眩しいセンターバックだ。長身を利したヘディングは、攻守両面でチームの強みとなる。3月11日に行われたU-22日本代表対U-22ミャンマー代表のテストマッチでも、コーナーキックからヘディングシュートを叩き込んだ。キック力を生かしたロングフィードで、攻撃の組み立てに関わることもできる。
今季J1に復帰した湘南ベルマーレ所属の遠藤は、守備的なポジションならどこでもこなせるマルチプレーヤーだ。ベルマーレでは3バックの右サイドが定位置だが、U-22日本代表ではボランチ──中盤の守備的なポジションで起用されている。
彼の特徴はディフェンスだけではない。攻撃力も鋭い。ディフェンダーにも攻撃力を、フォワードにも守備力を求めるベルマーレで、遠藤は積極的な攻撃参加を見せている。チャンスの気配を見逃さず、相手ゴール前へ飛び出す。攻守両面における質の高いプレーは、豊富な運動量が下支えする。
リオ五輪アジア1次予選が行われるため、岩波と遠藤は3月のテストマッチに参加できない。だが、4月以降はU-22と日本代表のかけもちが可能だ。日本代表とのつながりを持つことで、五輪選手の成長を促したい。
いずれにせよ、ハリルホジッチは「日本らしいサッカー」と「結果」の適正バランスを探っていかなければならない。自分たちのサッカーを大義名分として結果を置き去りにするようなサッカーは、もはや誰も求めていない。代表チームはサッカーの美しさや機能性を競うのではなく、貪欲に勝利を求める集団であるべきなのだ。