怪我・外傷

食道破裂の症状・診断・治療

食道破裂は原因不明の突発性食道破裂が大部分です。飲酒やそれ以外では嘔吐に伴う破裂です。診断は食道造影で確定します。治療は緊急手術が必要なことが大部分です。最近では内視鏡治療も始められました。

井上 義治

執筆者:井上 義治

形成外科医 / 皮膚・爪・髪の病気ガイド

食道破裂とは

食道破裂は内視鏡の最中に、また別の医療器具使用時に起こる疾患または原因不明の食道破裂の2つがあります。患者は重篤な状態で、縦隔炎を合併します。

食道

食道は口と胃をつなぐ臓器で頚部と胸部に位置します。


原因不明の食道破裂は食道下部、嘔吐に伴い腹圧が上昇し、それが原因となって食道が破裂します。

食道破裂の年齢、性差

中高年の男性に多くみられます。飲酒が関連している場合が多く、飲酒以外でも嘔吐が必ずみられます。

食道破裂の症状

破裂した部位の疼痛です。食道壁の穴から炎症が広がり、縦隔気腫、縦隔炎を合併します。それに伴い呼吸困難、咳、痰、発熱などの症状が発生します。頚部や胸部の皮下に空気を触れることもあります。食道からの出血に伴い貧血、ショックを合併することもあります。

縦隔

胸部X線正面像。食道から空気が縦隔に流れている縦隔気腫が認められる。


食道破裂の診断

■内視鏡
食道破裂を考える場合、通常行われる検査です。ただし破裂した穴が小さい場合見落としの可能性があるため、次の造影検査を必ず追加します。

内視鏡

食道内視鏡写真。破裂した食道壁の穴が直接観察されました。


■食道造影
水溶性造影剤を用いた食道造影を行います。

食道造影。

食道造影像。造影剤が食道から縦隔に流れる所見が認められる。


■CT
合併した縦隔炎の診断が可能です。

CT

胸部CT像。食道の後方に縦隔気腫と縦隔水腫が認められた。


食道破裂の治療法

ごく一部の、小さな穴で縦隔炎が軽度の場合は保存的な治療を行います。禁飲食、高カロリー輸液を行います。
それ以外の場合、外科的食道修復術およびドレナージ術を直ちに行う必要があります。

■食道修復術
破裂してからの時間経過が短く、縦隔炎が軽傷、食道の状態が良好であれば、食道壁を直接縫合します。

■食道再建術
破裂してからの時間経過が長い、縦隔炎が高度である、食道の状態が不良などの場合、緊急手術で食道を切除します。後日縦隔炎が落ちついてから胃管を使用したつりあげなどの方法で食道再建を行います。2回の手術が必要です。

■内視鏡治療
最近では食道ステントを使用した内視鏡治療も始められました。いまのところ成績は良好のようです。

食道破裂の予後

過去には死亡率の高い疾患でしたが、早期診断、早期治療により死亡率は10%程度に減少しました。


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