脊椎分離すべり症とは

脊椎分離すべり症とは、先天性やスポーツにより生じた脊椎分離症の進行によって、前後に脊椎のずれが生じ、これが原因で腰痛、下肢痛、下肢しびれ、下肢の筋力低下、膀胱直腸障害、間欠性跛行などの症状が起きる病気です。仕事や日常生活に支障を生じてしまいます。通常青年期のスポーツ選手に発症し、男性に多い疾患です。
腰椎

まず椎間関節が分離して、さらに前後に脊椎が移動した状態が分離すべり症です。


脊椎の中で腰椎に一番多く発生し、その場合「腰椎分離すべり症」と呼ばれます。この記事では腰椎のことを中心に取り上げます。

脊椎分離すべり症の症状

腰痛、下肢痛、下肢しびれ、下肢の筋力低下、間欠性跛行(かんけつせいはこう)などです。この腰痛は脊椎分離すべり症の主要な症状です。それ以外の 症状として、会陰部の灼熱感、疼痛、直腸膀胱症状(初期は便秘、排尿困難からはじまり最終的に尿失禁、便失禁となる状態)、持続性勃起などがあります。

脊椎分離すべり症の診断

■単純X線(レントゲン)
単純X線写真は放射線被爆量も少なく、費用もわずか。その場で撮影も終了し当日説明をうけられるので、整形外科では必ず施行します。

単純X線像。

腰椎単純X線側面像。側面で3mm以上のずれを有意なすべりと診断します。


腰椎は5個、体の中央にあります。頭側は胸椎と関節でつながり、足の方向では骨盤の一部である仙骨という骨とつながっています。

まず第4腰椎と第5腰椎の椎間関節が離れていることから「分離症」と診断できます。さらに第4腰椎が第5腰椎に対して前方に移動していることから「すべり症」と診断ができます。2つの診断を総合して、「分離すべり症」の診断となります。

■MRI
MRI

腰椎MR矢状断画像。第5腰椎が仙骨より前方に位置していることがわかります。


神経では脊髄の延長である馬尾神経が圧迫されています。

MRIは磁気を使用して人体の断面写真を作成する医療用機器です。被爆がないのが最大の特徴です。欠点は費用が約1万円程度と高額な点、狭い部屋に15分 間ほど閉じ込められて、騒音が強いことです。昔の脳外科の術後で体内に金属が残っている人、心臓ペースメーカー装着の人、閉所恐怖症の人などではMRI検査が 無理なため、CTで検査を行います。CTの検査費用は5,000円程度と、MRIより安くなりますが、被爆があります。

脊椎分離すべり症の治療

■スポーツの休止
分離症を治療するにはスポーツを休むことが必要です。

■腰によい姿勢の保持
中腰、椅子に浅くかける姿勢が腰に負担がかかります。引越しや重い荷物を運ぶ際には、背筋を真っすぐ伸ばして腰を屈めて荷物を持ち上げると、腰に負担が少ないです。

■鎮痛薬
ボルタレン、ロキソニンなど非ステロイド消炎鎮痛薬( NSAIDと省略されます )。

・ボルタレン : 1錠 15.3円で1日3回食後に服用。副作用は胃部不快感、浮腫、発疹、ショック、消化管潰瘍、再生不良性貧血、皮膚粘膜眼症候群、急性腎不 全、ネフローゼ、重症喘息発作(アスピリン喘息)、間質性肺炎、うっ血性心不全、心筋梗塞、無菌性髄膜炎、肝障害、ライ症候群など重症な脳障害、横紋筋融 解症、脳血管障害胃炎。
・ロキソニン:1錠 22.3円で1日3回食後に服用、副作用はボルタレンと同様。

どちらの薬でも胃潰瘍を合併することがありますので、胃薬、抗潰瘍薬などと一緒に処方されます。5年間、10年間の長期服用で腎機能低下などの副作用がありますので、注意が必要。稀に血液透析が必要となる場合もあるので、漫然と長期投与を受けることはできる限り避けて下さい。

■血行改善薬
オパルモン 血管拡張作用により神経に血流を増加させ痛みを減少させる作用を持ちます。1錠78.5円を1日3回服用します。6週間の服用で56%の改善率があります。副作用ですが、胃部不快感、発疹、頭痛、頭重感、下痢、貧血などがあります。

■硬性コルセット
分離すべり症では、プラスチック製の硬い素材のコルセットを使用します。日常生活に支障がでます。ある程度症状が安定したら「軟性コルセット」を使用します。

脊椎分離すべり症の手術

■分離部修復術
分離した骨の周辺を含めて、骨切除を行い、骨移植と金属による固定を行います。

■PLIF手術 (Posterior Lumbar Interbody Fusion Surgery) 後方腰部脊椎固定術
除圧のほかに上下の脊椎に骨移植を行って、脊椎の安定化を行う手術があります。後方腰部脊椎固定術はその手術の一つです。

金属

分離症やすべり症で安定性が必要な場合金属による強固な固定が必要になります。


分離すべり症の状態に応じた手術方法を選択する必要があります。


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