3、世界的な金融緩和状態続く
日本株を予想する上では世界経済や米国株の動向を考えることも重要です
4、原油価格の低迷継続も日本企業には好影響
原油価格は50ドル前後の推移が続いていますが、これは資源の無い日本にとってプラスの側面が大きいと思います。生産コストや運輸コストが大きく下がるためです。このまま原油価格の低迷が続けば日本株にとっては企業業績の面でプラスです。ちなみに、過去の原油価格急落局面を考えると、今回の原油価格急落の先行きも見えてくると思います。かつて、世界最大の産油国であったサウジアラビアが原油の増産を決定し、5ヶ月間で原油価格が3分の1にまで暴落した事がありました。1985年12月~1986年4月にかけての事です。当時、米国とソ連は冷戦対立を深め、アフガン侵攻などで緊張も高まっていました。そのタイミングで原油価格が一気に3分の1となったのです。需給の理屈だけではありえない暴落です。そして、その5年後にソ連は崩壊しました。崩壊に至るまでに様々な政治的変化がありましたが、原油価格が最大の原因と思います。ソ連は収入の大半を原油やガスの輸出に頼っていたのですが、その価格が大きく下落し、資金がなくなったのです。
そして現在も、ソ連崩壊後に、ロシアの大統領となり、ロシア企業の民営化を推し進めたエリツィンの後任で(このため、米国との関係改善が進んだ。民営化路線に進めば、欧米のメジャー企業による買収などが行えるようになり、国際金融資本にとってはプラスだからです)、民主化の流れを止め、新興財閥のトップを次々と逮捕・拘束していったプーチンと、FRB(連邦準備銀行)の株主でもあり、世界のお金の流れを仕切る国際金融資本との対立は深刻化しています。シェールガス開発に伴う需要増や米国の量的緩和政策終了にともなう投機資金の撤収という、原油価格が下がりやすい基本的な背景があることはもちろんですが、それだけで原油価格が半分になった説明はつけきれません(たとえば、価格が一気に半分になるほど、需給ギャップが開いているわけではない)。その状況が国際的な政治圧力に利用されていると見た方がしっくり来ると思います。
このように考えると、プーチンが失脚してロシアが再び民営化路線に戻るといったような、大きな変革が起きるまでは、原油価格の低迷は続く可能性があると言えます。
5、海外の株式市場は一旦調整も
これまで書いてきたような好材料の揃う日本株ですが、マイナス要因もあります。それは米国の景気が予想以上に良く、米国の利上げが近づいているとみられているため、一旦、米国や世界の株式市場は調整となりそうなことです。米国の2015年2月の雇用統計は非農業部門雇用者が29万5000人の増加と、予想の23万5000人増を大きく超え、失業率も5.5%へ低下し、予想の5.6%より良い結果となりました。時間当たりの賃金は伸び悩んだものの24.78ドルと、前回の24.75ドルより改善しています。このため、利上げの時期が早まるとの見方が台頭しています。米国の利上げは為替にとっては円安材料で日本株にプラスですが、米国の株式市場にとってはマイナス材料です。もっとも、景気が良いから利上げがあるわけですので、米国株も一旦の調整後は再び高値を更新するような堅調な状態に戻ることが予想されます。
ともあれ、一時的でも世界の株式市場が大幅な調整をするようであれば、如何に下支え圧力あっても日本だけ逆行高とはなりにくいと思います(下がりにくい状態は続くと思いますが)。基本的に世界の株価トレンドは連動しています。
以上のようにプラス要因とマイナス要因は色々ありますが、世界の株式市場に連れ安となって一旦の調整はあるかもしれませんが、現在の日本株の長期見通しは2万円超えも楽に行けるほどの好材料が揃っていると言えると思います。加えて言えば金融危機前の高値更新!日経平均はバブルか!?でも書きましたようにPER水準から見ても日本株は決して割高ではないことも、プラスだと思います。
参考:日本株通信
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