テクノポップ/アーティストインタヴュー

不毛の地と呼ばれた横浜にダンスミュージックを!(4ページ目)

ゲッカンプロボーラーを離れて、ベンチから応援することになったHIDEさん、横浜の7th AVENUEをベースに月例パーティー「7th SUMMER of LOVE」を始めます。対談形式でHIDEさんとダンスミュージックの小歴史、課題、そして展望について世代を超えて語り合いました。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

aorizm recordsの今後

ガイド:
HIDEさんはaorizm recordsの主宰者として、All Aboutテクノポップにも登場していただいたアーティストの方々を送り出してきましたが、今後の方向性とかはあるんでしょうか? アーティストにとってもレーベル・オーナーにとっても、減少傾向がとまらないCDなどのセールスというのはやはり逆風と思いますので、その辺りについても お考えが聞きたいです。

HIDE:
まず言えることは、レーベルオーナーと聞くと、いち早くアーティストの才能を見出して世に送る、というイメージがあると思うんですけど、僕はそんな大それたことはしていないんです。たまたま繋がりの出来たアーティストが世に音源を出すべく、少し手伝いをしていた程度なんです。少なくともaorizmから音源を出したアーティストは既にカラーもあって、音源もクオリティが高いんです。そこに関して何も言うことはないですし、本当に事務的な手続きを進めていくという。 細かい作業は嫌いじゃないので(笑)、勿論アーティストの名前を少しでも広げようとレーベル内だけで完結しないように他に協力も得ましたが、それが仇となったこともあります。レーベルの方針とかアーティストとの向き合い方とか、本意ではない部分が出てきてしまったのは、悔しいところですね。

そんなこともあって、レーベルとしてしばらくはこちらから要請して誰かの音源を出すことは考えてないですね。セールスという視点では、今は資金がなくても音源を発信するツール が沢山あって、それを駆使してセルフマネジメント出来るアーティスト、その音源が時代にマッチさえすればおのずと数字はついてくると思いますよ。日本は音楽活動以前に平和に生きる環境が整っているわけで、志と体力さえあれば何回でも失敗出来ますから。

Daft Punkからのヒント

ガイド:
世界レベルの話ですが、そんな逆境の中でも、Daft Punkは例外的に頑張っていますね。2005年の『Human After All~原点回帰』は個人的にはとても好きな作品ですが、セールス的には2001年の『Discovery』ほど行かなかった。『Discovery』が 頂点かと思いきや、2013年の『Random Access Memories』でグラミー賞まで取って、セールス的には完全に記録更新をやってのけました。EDMとかそんな流れで、ディスコミュージックのルーツに戻りながらも、彼ら独自の世界観と完成度の高さで人々を魅了しました。なんか、このあたりにヒントが隠されているという気がします。

HIDE:
要するにいつでも開けたいときにそこに無数の引き出しがあって、それぞれの中身が常にアイデアと技術で溢れているということと、時代の先を読むアンテナも性能が抜群に優れているんですよね。これだけEDMが世界中でブームになって、そこだけを見るとみんながそれを求めていると思いきや、ブームの裏には必ず強烈 なアンチを生むと思うんです。ルーズソックスの後に紺のハイソックスが流行ったり、iPhoneが流行れば流行る程、他のスマホユーザーに愛着を持つ人がいますよね。そんな時代の流れを上手く突いたなと思います。きっとDaft PunkはこのEDMブームを誰よりも冷静に見て、『Random Access Memories』を生んだんじゃないでしょうか。
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