自己愛と本当の愛の境界線
相手を理解し、受け止めたくなったら、本当の愛の始まり
もちろん初めから本当の愛を相手に抱けるか?というと、それは難しく、気持ちにも愛情にも段階があります。
ただし、自立していないと、自己愛で抱く感情より先には進めなくなってしまうのです。
異性と出会い、好意を抱き、恋に落ち、愛に変わるまでの心境を簡単に説明すると、こういった変化があります。
(1)相手ともっと一緒にいたくなる=自分にとって都合が良い相手に過ぎない(自己愛)
(2)相手に好かれたくなる=相手を自分の都合の良い人にしたい(自己愛)
(3)相手に甘えたくなる=相手に心を許している段階(まだ自己愛)
(4)相手を必要とする=相手に愛を求めている段階(まだ自己愛)
(5)相手を理解し、受け止めたくなる=相手に愛を与えている段階(本当の愛)
(6)相手を支えたくなる=相手に愛を与えている段階(本当の愛)
(7)相手を幸せにしたくなる=相手に愛を与えている段階(本当の愛)
(4)と(5)が、自己愛と本当の愛の境目です。
(5)~(7)について言うと、まだ自分のことすら受け止められていない人、そして幸せではない人が、本当の意味で相手を受け止め、支え、幸せにするのは、まず難しいでしょう。
そういう人は、まず相手を使って、自分を支えてもらおう、幸せにしてもらおうとしてしまうからです。
哲学者・エーリッヒフロムの言葉にこういったものがあります。
「一人でいられる能力こそ愛する能力の前提条件なのだ」
「人を愛すること」と「自立」は切っても切れない関係なのです。
ただし、(5)(6)(7)も、「自分が相手を支えなければ、そして幸せにしなければ意味がない(他の人がそれをしたら許せない)」という感情がある場合は、まだ自己愛です。
本当の愛情は、「相手がHAPPYなら、自分もHAPPY」だからです。
もしそう思えない時は、相手の役に立つこと、必要とされることで、自己重要感を高めたいだけであり、それはある意味、依存とも言えます。
つまり、それだけ本当の愛と自己愛は紙一重であり、本当の愛を持つこと、自立することは難しいことなんですよね。
中には、自立を目指しておきながら、孤立してしまう人も少なくありません。
次のページでは、「自立と孤立の違い」について紹介します。