住宅リフォーム/マンションリフォーム

マンション断熱リフォーム事例、角部屋と北の壁に注意

マンションは冬でも暖かい?実はそうでもないんです。特に北側の壁に面した部屋や角部屋、1階では冷蔵庫にいるような寒さや底冷えを感じることも。マンション暮らしをもっと快適にする、断熱リフォーム事例をご紹介します。(2017年改訂版、初出:2015年3月)

尾間 紫/Yuu

執筆者:尾間 紫/Yuu

リフォームガイド

マンションの北側の壁に面した部屋は寒い!断熱リフォームで快適に


マンションの北側の壁面

マンションの北側の壁に面した部屋は、冬に冷蔵庫の中にいるような底冷えを感じることも。


一戸建ては冬に寒い、マンションは暖かいとよく言われますが、実はそうでもないんです。断熱性能が低いマンション、特に北側の壁に面した部屋や角部屋、1階は冬になると底冷えを感じ、結露やカビに悩まされることもあります。今回は、マンション暮らしがもっと快適になる、断熱リフォーム事例をご紹介します。

断熱性能が低いマンションは冬寒く夏暑い、結露やカビの悩みも

マンションはコンクリートの厚い壁で囲まれています。その分、断熱性能が高くて暖かいと思われがちですが、コンクリートは木に比べて熱を伝えやすいため、冬の寒さで冷え切った壁に囲まれた部屋の中は、まるで冷蔵庫の中にいるような寒さを感じます。

壁が冷えているところに暖房を付ければ、壁面に結露が発生し、カビが生えやすくなります。マンションの北側の壁面の壁紙を剥がすと、裏が黒くなっていることがありますが、この黒いものは結露によるカビであることが少なくないのです。

断熱性能が低いマンションは冬寒い

築年数が古く断熱性能が低いマンションは、冬に寒くて夏は暑い。窓や壁に結露やカビの悩みもある。


しっかり断熱がしてあるマンションなら、外気の影響を受けにくいため、冬でも室内を暖かく保ち、結露やカビも防げます。しかし築年数が古いマンションは断熱性能が低いために外気の影響を受けやすく、冬になると寒い、夏は暑い、結露やカビに悩まされるといったような状況に陥ってしまうのです。

北側の部屋、角部屋、1階と最上階は寒さ暑さの影響を受けやすい

マンションは部屋の位置により、外気から受ける影響の大きさが違います。影響が大きいのは、外気に面した壁面積が広い部屋です。つまり2方向が外気に面している角部屋、天井の上や床の下に部屋が無い最上階や1階です。

角部屋は寒さ暑さの影響を受けやすい

角部屋は窓が多く明るいが、寒さ暑さの影響を受けやすい。


これらの壁面、天井面、床面にしっかりとした断熱対策がしてあれば快適なのですが、断熱性能が低いマンションの場合、日当たりが悪く冷えやすい北側の壁に面している部屋は冬に寒く、日当たりがよく蓄熱しやすい南西の壁に面した部屋は夏に暑くていられないといったようなことが起きます。

同じように1階は寒さの、最上階は暑さの影響を受けやすく、また角部屋は2方向の壁が屋外に面しているため、外気の影響をより受けやすい状況にあるのです。

マンションの冬の寒さを防ぐ、床の断熱リフォームの事例

それではマンション断熱リフォーム事例をご紹介します。まずは、マンションの1階の部屋で、冬になると足元が寒いという環境を、リフォームによって改善した事例です。築年数が古いマンションで床下に断熱がされていなかったため、冬になると底冷えがして、いつも寒さを感じていました。

そこでこの工事では、床組をすべて撤去、スケルトン状態にして、現場発泡タイプの断熱材を吹き付け、床下の断熱性能を高めました。吹き付けタイプの断熱材はスキマを埋めるように膨らむので気密性が上がり、耐湿性が高いので結露やカビの心配が少ないのが特徴です。

マンションのスケルトン状態の床

築28年のマンション。スケルトン状態にしてのリフォーム。まずは床の清掃。


現場発泡タイプの断熱材を吹き付けている様子

ポンプを使ってホースで現場発泡タイプの断熱材を吹き付ける。


現場発泡タイプの断熱材の硬化後

吹き付けられて発泡後すぐに硬化。厚みの確認を行っている様子。


断熱リフォームを行った後は、寒い冬でも底冷えを感じることが無くなり、快適度が大きく向上しました。マンションの床の断熱リフォームは他にも、敷くだけタイプの簡単な断熱材もあります。予算と目的にあわせて選びましょう。

マンションの結露とカビを防ぐ、壁の断熱リフォームの事例

次は、結露とカビがひどいマンションの北側の壁面に断熱リフォームを行った事例です。工事方法は、上記の床と同じ現場発泡タイプの断熱材を使って工事をした様子です。

大事なポイントは壁面だけでなく、壁と天井の境目、壁と床の境目も覆うように吹き付けているところです。この部分は熱の出入りの穴になりやすい部分ですので、しっかり折り返して断熱しておくことが肝心です。

マンションのスケルトン状態の壁

築31年のマンション。スケルトン状態にしてのリフォーム。


マンションの壁面の断熱リフォームの様子

現場発泡タイプの断熱材を吹き付け、天井と壁の境目、壁と床の境目も覆うように折り返して断熱している。(写真提供:アイシネン


上記はスケルトン状態にした際の断熱リフォームの様子です。壁や床、天井を撤去するなら、このような断熱リフォームは忘れずに行いましょう。スケルトン状態にしない場合は、今ある壁の上から手軽に貼ることができる断熱壁材もあります。

壁に貼る断熱材

今ある壁の上から手軽に貼ることができる断熱材もある。窓の断熱も忘れずに行っておくことが快適のポイント(LIXIL


室内をまるごとくるむ断熱リフォームが快適への鍵

断熱リフォーム成功のポイントは、外壁に面した面をくるむように行うことです。その際は窓も忘れずに対策しておくことで、マンションの暮らしは更に快適になります。今回ご紹介した事例は、冬の寒さと結露対策ということで床断熱と壁断熱をご紹介しましたが、最上階の暑さ対策をする場合は、天井裏に断熱リフォームを行います。

ただし断熱リフォームは技術と知識が必要なリフォームです。粗悪な工事によって壁内結露が起き、カビがひどくなった、断熱の効果がほとんど無かったというケースもあります。経験豊富な業者を選んで依頼しましょう。

さて窓の断熱方法にはいくつか方法があります。手軽で省エネ効果が高い、窓の断熱リフォーム用アイテムは下記で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧下さい。
カーテンやカーペットを使う簡単なプチリフォームで、部屋を暖かくする工夫は下記でご紹介しています。
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