花街情緒を色濃く残す、稀有な空間で優雅なカフェタイムを
城下町の風情が漂う石畳の小路に紅柄格子も艶やかなひがし茶屋街。伝統的な茶屋建築を和モダンに改装したレストランやショップ、ギャラリーが立ち並ぶ、金沢きっての観光名所です。今回はひがし茶屋街に来たら絶対に外せない素敵な町家カフェをご紹介します。昭和天皇に献上された「献上加賀棒茶」で名高い老舗製茶場が営む風雅な茶寮
文久3年(1863年)創業、150年の歴史を紡ぐ加賀棒茶の老舗丸八製茶場が運営する茶房一笑。加賀棒茶とはお茶の茎を原料とするほうじ茶のことで、石川県加賀地方で古くから親しまれているお茶のこと。通常、ほうじ茶を作る際にはかなりの火力を必要とするため表面が焦げてしまい、香ばしくなりすぎてしまいます。しかし丸八製茶場の加賀棒茶は一番摘みの上質の茎を遠赤外線の輻射熱で表面を焦がすことなく炒りあげているので、芳ばしさと澄みきった味わいで格別の美味しさ。
茶房一笑では、そんなほうじ茶の言わば最高峰である加賀棒茶を始め、極上のお茶と共に金沢が誇る絶品和菓子を堪能できます。築150余年になる町家を改装したシックな店内には馥郁とした薫りとゆったりした時間が流れ、観光の合間にほっとひと息つくにはぴったり。
メニューは加賀棒茶、煎茶(温・冷)、抹茶(温・冷)、玉露(温・冷):各1,080円、生ジュース(756円)の5種類で、お茶には総てお菓子(上生菓子、季節の和菓子、白玉ぜんざいから選択)が付きます。
どのお菓子を選んでも間違いはないですが、私のおすすめは上生菓子。大正時代創業の老舗和菓子店高砂屋のもので、現在高砂屋の上生菓子は予約生産になっているのでとても貴重です。
供される器も凝っていて、1つとして同じ器がありません。例え同じものを頼んでも、急須、お皿、お茶碗、お盆、添えられているお花に至るまで、すべて違う組み合わせで供されるので、器好きにもぜひ訪れてほしいカフェです。
■茶房一笑
住所:〒920-0831 金沢市東山1-26-13
TEL:076-251-0108
営業時間:10:00~18:00
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)
花街を眼下に眺めながら自家製スイーツと挽きたてコーヒーでほっこり
2005年にひがし茶屋街の中ほどにオープンした茶房 素心。先に紹介した茶房一笑は日本茶専門店でしたが、素心はコーヒーに並々ならぬこだわりを持つコーヒー党におすすめのカフェです。注文のたびに豆を挽き1杯ずつ淹れるコーヒーは味わい深く、自慢の自家製スイーツとも相性抜群。 自家焙煎珈琲専門店の記事で紹介した金澤屋珈琲店の豆を使ったオリジナルブレンドコーヒー(470円)のほか、丁寧にエキスを抽出した水出しアイスコーヒー(580円)、エスプレッソ(370円~)、ウィンナコーヒー(520円)、カプチーノ(580円)、カフェラテ(580円)まで揃っています。
上生菓子以外手作りされているデザートメニューも多彩で、黒糖を使用したチーズケーキ(530円)や紅茶シフォンケーキ(530円)、抹茶ブランマンジェ(530円)、和風パフェ(840円)など和菓子派も洋菓子派も満足するラインナップ。
夏にはかき氷(500円~)も登場します。ちなみに素心の上生菓子(370円)は主計町茶屋街入り口にあるはやし製。各カフェそれぞれ違う和菓子店の上生菓子を使っているので、食べ比べてみるのも面白いかもしれません。
また目抜き通りに面しているので、高欄と張り出しの縁側がある2階からは情緒溢れるひがし茶屋街の街並みが一望でき、天気がいい日はもちろん、雨が降っても風情があっておすすめです。
■茶房 素心
住所:〒920-0831 金沢市東山1-24-1
TEL:076-252-4426
営業時間:10:00~18:30
定休日:水曜日