シンガポールの旧正月に欠かせない料理「魚生」とは?
50年以上シンガポール人に愛されている店
大勢で円卓を囲むのが旧正月の過ごし方
シンガポールの旧正月は、日本のお正月と同じように、家族が皆集まり食事を共にすることを、何よりも大切にします。旧正月にシンガポールに来るならぜひ試していただきたいのが、「魚生(Yu Sheng)」。日本でお正月におせちやお雑煮が欠かせないのと同じように、この時期ならではのシンガポール料理です。
「魚生(中国語で刺身)」という名前の通り、魚の刺身を使った野菜サラダのようなもので、特徴は、それぞれの食材に、縁起のいい意味が込められていると言うこと。例えば、「魚」は、中国語で「余る」という意味と同じ発音で、「生」は、上昇するという意味の言葉と同じ発音。それだけにとどまらず、味付けに使う油は、金運と幸せがよく流れるように、プラムソースは財産を表す、など縁起のいい意味を持つ食材を集めて作られているのです。
地元メディアでも評判の店
元々、シンガポールでお正月料理として1964年に生み出された料理で、中国にはありません。このLai Wah Restaurantは、なんと、その魚生の発祥の店。大体旧正月の2~3週間前から、様々なレストランでこの魚生がそれぞれにアレンジされて登場しますが、元祖魚生を味わいたいなら、やはりこのLai Wah Restaurantがお勧めです。ちなみに、このレストランでは、2015年は、旧正月の2週間ほど前から魚生の提供がスタートしています。
ガイドは提供開始翌日のランチタイム終了間際にお邪魔しましたが、大にぎわい。旧正月期間中の週末の夜は結構早くから予約で埋まっているようです。サーモンバージョンもあったのですが、おすすめされた西刀魚(太刀魚)の魚生(Sサイズ、34シンガポールドル)をいただくことに。
散らかれば散らかるほど縁起がいい? 驚愕の食べ方
横の小皿との比較で、ボリューム感をお分かりいただけますでしょうか
「ローヘイ」というかけ声と共に、高く持ち上げ、落とします
山盛りの野菜と共に登場した魚生、3~4人前とはいえ、すごいボリュームです。まずはお店の方が、刺身の部分にライムを絞って野菜の上に載せ、さらにシナモンと胡椒の粉をまぶしかけてくれます。そして、ここからが、知らない人にとっては驚きの食べ方スタート。円卓を囲む全員が、「ローヘイ、ローヘイ」というかけ声と共に、皿の中味をぐちゃぐちゃにかき混ぜて行きます。その後、一人ずつ願い事を言いながら箸で高く揚げては皿の上に落としていきます。
ガイドはどうしても大胆に混ぜられずこじんまりしてしまいました
もちろん、皿の上に着地しなかったりして、まわりもぐちゃぐちゃに。日本人としては、テーブルが汚れるのは、どうしても気になってしまうのですが、散らかれば散らかるほど、なるべく豪快に落とした方が運気が上がると言うことですから、この際、思い切り落としましょう。お店側も心得たもので、テーブルにはしっかり、テーブルクロスの上にビニールが敷かれて、片付けも楽な工夫がされています。
甘酸っぱい味付けで箸が進みます
人参や大根がメインで、さらにタマネギの甘酢漬けやクラゲが加わり、プラムソースの甘めのソースがかかっています。砕いたピーナッツや、レモングラス、生姜、所々にアクセントで入っているオレンジピールが効いていて、フルーティーで南国風のお刺身。薄切りの太刀魚は、サラダの味を邪魔しない、あっさりとした味わいでした。
最初はボリュームに圧倒されますが、ほとんどが野菜なので、意外にするりと食べられてしまいます。
Pork Chops in Delicious Sauce、20シンガポールドル
旧正月の時期しか食べられないお料理ですが、その他、1963年創業と、老舗の中華料理店であるLai Wah Restaurantでは、現代的な中華料理だけでなく、当時のシンガポールの味を守り続けたクラッシックな料理も提供しています。
HDBと呼ばれる公団住宅の下にあるレストランで、華やかさはありませんが、古のシンガポールに思いを馳せつつ、クラッシックな中華料理を楽しんでみてはいかがでしょう?
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Lai Wah Restaurant
営業時間:ランチ 11:00~14:30、ディナー 18:00~21:30
住所:Blk 44, Bendemeer Road, #01-1436, Singapore 330044
TEL:+65 6294 9922
アクセス:MRTブーン・ケン駅から徒歩5分ほど