株価が割高になると投資家は株を「売る」
好業績など、企業にとってよいニュースが発表されると、株価は上昇します。その結果として、株価が割高になることがあります。また、悪い決算やニュースがきっかけで、適正株価が見直され、結果として今の株価が割高になってしまい、株が急落することもあります。このように、株価が割高になると投資家は株を「売り」ます。株価が割高になったとき、その株式を保有している投資家は、単純にその株式を売却します。また、株式を保有していない場合でも貸借銘柄であれば、株式を借りてきて空売りすることができます。
しかし、現物も保有していない、貸借銘柄でもない会社の株は売却できません。でも、やっぱり売りたい。そんな時、どうにかして売る方法はないのでしょうか?
貸借銘柄とは空売りできる銘柄!
一般的に「モノ」はまず購入して、その後に売却します。すなわち、買ってからでないと売れません。しかし、株式は保有していない株式でも、株式を借りて売却することができます。もちろん、株式を借りて売却するので、将来的にはその株式を買い戻して、返さなければなりません。このように、株式は借りて売却することができるのですが、すべての株式を借りられるわけではありません。「貸借銘柄」に指定される株式だけ、借りることができます。
それでは、どのような株式が貸借銘柄なのでしょう?2015年2月5日時点で、日本の証券市場に上場している株式等は3709です。そのうち、貸借銘柄は2165です。下の表は上場市場別の一覧です。
これをみてわかるように、東証一部ではほとんどの銘柄が貸借銘柄ですが、東証二部やマザーズ、JASDAQなどは、貸借銘柄が少ないです。つまり、東証一部の銘柄は割高と思ったら、空売りできるけれど、それ以外の市場では空売りできない場合が多いのです。
でも、貸借銘柄以外で目立って割高な銘柄も、ときにはあります。例えばガンホー<3765>がそうでした。それでは、貸借銘柄ではないガンホー株を空売りすることはできないのでしょうか?
貸借銘柄ではないガンホー株を空売りする方法はないのか?
パズドラで爆発的に儲かっているガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>の株価チャートです。ガンホーが2013年5月につけた最高値は1,633円です。その一年前の2012年5月末の株価は17.95円です。一年で約90倍です。もちろん、パズドラで儲かっていて、業績もいいですが、さすがに割高と評価している人も多かったのではないかと思います。
私も「1年で株価が22倍!ガンホー<3765>は、まだ買いか?」という記事で、株価が割高であると書きました。
http://allabout.co.jp/gm/gc/412988/
実際に、最近は業績の伸びが鈍化していて、2015年1月末の終値は407円です。最高値と比べると、約4分の1の株価になっています。株価が1600円のときに売っていれば、儲かりましたねえ。
それでは、1600円のときに空売りできたのでしょうか?
残念ながら、ガンホーは貸借銘柄ではなかったので、現物株を保有している人以外は売れませんでした。つまり、割高と判断しても、ガンホー株の空売りで利益を得ることはできなかったのです。
ちなみに、ガンホーは2014年11月より貸借銘柄になりました。貸借銘柄になって、空売りできるようになって、どれくらいの株が売られたのでしょう?
2月13日の終値で空売り残高が最も大きいのはソニーで、117億円分の株式が空売りされています。そして、二番目に大きいのはガンホーで94億円分の株式が空売りされています。やはり、みんな売りたくてしかたなかったのですね。
みんなが空売りしたくて仕方なかったガンホー株ですが、本当に空売りできなかったのでしょうか?