向かうところ敵なし!
『三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE』
三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE
オーディションで選び抜かれた歌唱力、ダンスの実力はもちろん、見出された人間性の高さは申し分がない。だが、特に昨年、ぐんぐん追い上げる人気を見せたのはなぜだろうか。
[人気の考察]
EXILE、EXILE TRIBEのグループを総称して“EXILEファミリー”と呼ぶならば、そこにはなんとなく『黒い』『ワイルド』『髭』のイメージを思い浮かべる人は少なくないだろう。いくら楽曲が良くても、それを好みとしない人からしたら、無意識に退けてきたジャンルかもしれない。
そんな食わず嫌いしていた女性層をも多く引き付ける引き金となったひとつに、グループ最年少の岩田剛典の存在を特筆せずにはいられない。昨年、EXILE加入やドラマ出演を果たすなど、メディアへの露出の多かった彼。アイドルや俳優顔負けの整った甘いマスクに通称“キラースマイル”と呼ばれる爽やかな笑顔は、上記に挙げたような、従来までの“EXILEファミリー”に対するイメージを覆し、彼らの楽曲やパフォーマンスを見てもらうきっかけに大きく繋げたと言えるだろう。
また、登坂広臣は映画『ホットロード』で俳優デビューを果たし、日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞するなど、個人の活躍や才能の開花が目覚ましかった。
他に記憶に新しいのは、メンバー全員がタキシード姿で臨んだ『ゼクシィ』のCMだ。普段と異なるぎこちなさも見せたプロポーズシーンも、彼らのイメージを一新し、多くの女性の目を惹き、話題を呼んだ。
また、EXILEファミリーといえば、デジタルビートを取り入れた楽曲のイメージが強いが、ライブでは明るいだけでなく、しっかりと聴かせる場面があるのも見どころのひとつだ。バラードである『花火』が代表曲として挙げられるように、バラードを楽しみにしているファンも多いところが、他のダンス&ボーカルグループのファン層と異なり、多くのファンを抱えている要因のひとつと言える。
様々な魅力を持ち合わせている彼らだが、しっかりと聴く耳を持ったファンも捉えていることは彼らの強みと言える。
続いて、グループの体系の視点から考察してみよう。グループにアイドル的性質が強いと、年齢を重ねた際のグループの行く末など、その先というのが見えにくく、儚さもつきまとうものだ。しかし彼らの場合、先輩であるEXILEを尊敬し集まったメンバーであり、現にEXILE TRIBEのメンバーとして、そのスピリットを受け継いでいく、という使命も同時に掲げ、活動している。
自身のグループの繁栄のみならず、後継を念頭においたグループの在り方や活動方針は、他と一番大きく違うところだ。地に足をつけ、どっしりと構えた姿は、まるで永遠というものを実現して見せる力強さをも感じさせる。今後もファンの「ずっとついて、応援していこう」という尊い気持ちを打ち砕くことなく、期待に応えた活動を見せていくことだろう。
また、例えば、先に述べた岩田においては、昨年EXILEに加入した際、同時期に加入を果たしたメンバーらと記者会見の場など、表に露出する機会が多かった。三代目JSBでは末っ子のイメージの強い彼だが、新メンバーの中では年長者であるため、代表して答弁したりと、そこではしっかりと後輩をリードする面を見せていた。それぞれのメンバーが場面によって異なる表情を垣間見せるのも、面白さのひとつであり、EXILE TRIBEのメンバーのファンならでは楽しみ方だろう。
しかし、昨年は序盤から三代目JSB、またファンにとって大きな変動を迎えた年でもあった。HIROのEXILE勇退を受けての心境変化も大きかっただろう。そんな中、1月から約1年ぶりとなる全国ツアーを敢行。また、その間に“EXILE PERFORMER BATTLE AUDITION”が行なわれ、メンバーから岩田のEXILEへの加入が決定。
そうしてグループが変動を伴っていた頃、そこから勢いを放つように『R.Y.U.S.E.I』をリリース。それはファンにとっても、彼らの絆を改めて感じられる心強い作品であり、7つの流星を歌ったこの楽曲で、のちにレコード大賞を受賞することになった。メンバー全員で行なわれるダンス“ランニングマン”が話題を呼んだりと、さまざまな要因が絡み合っているが、『R.Y.U.S.E.I』が代表曲に成長した経緯として、メンバー間やファンとの間をより強く結びつけたという背景のあることも忘れてはならない。彼らの人気は、単なる勢いによるものではないのだ。