尚、映画の内容にちょい深く触れている部分もあるかもしれません。まっさらの状態で映画をご覧になりたい方は鑑賞後に是非!
まるで”あて書き”?
ももクロ5人の個性が光る『幕が上がる』
(C)2015 O.H・K/F・T・R・D・K・P
舞台は富士山が良く見える静岡の共学校。弱小演劇部の部長・3年生のさおり(百田夏菜子)、演劇部の姫・ユッコ(玉井詩織)、2年生の明美(佐々木彩夏)、強豪校からの転校生・中西さん(有安杏果)、ムードメーカー・がるる(高城れに)ら演劇部の部員たちが、元学生演劇の女王で今は新任美術教師の吉岡先生(黒木華)や顧問の溝口先生(ムロツヨシ)、国語の滝田先生(志賀廣太郎)らと関わりながら高校演劇に向き合い、悩み、喜び、成長していく様子が描かれています。
原作は”静かな演劇”と評される事も多い青年団の主宰・平田オリザ氏の同名小説。脚本はナイロン100℃の劇団員であり、ブルドッキングヘッドロックを主宰する喜安浩平氏(映画『桐島、部活やめるってよ』でも脚本を担当)。
もうね、胸の奥の引き出しにしまっておいたアルバムを20年振りに見ているかのような、非常に切なく……甘さとほろ苦さが混在する作品です。モノノフを自認する監督の本広克行氏が原作小説を読んだ際「ももクロへのあて書きかと思った」と思わず語ってしまうほどの演者と役柄のキャラの一致も面白い。
5人(+演劇部員)のリーダー役であるさおり(百田)は勿論、後に強豪校から転校してくる中西さん(有安)の可憐で不安そうな様子と、彼女の登場で自分の姫ポジが脅かされるんじゃないかと焦りを見せるユッコ(玉井)、そういう状況を少し離れた場所から見ているがるる(高城)、他人を気遣う気持ちは人一倍なのに、自分の事になると混乱してしまう明美(佐々木)。うんうん、”あて書きか!”発言も超納得!
そしてガイドがこの映画を観て、なるほど!と膝を打ったのは、通常の”青春映画”にほぼ必ず織り込まれている2つのファクターが敢えて外されていた点でした。
⇒ 『幕が上がる』で外されていた意外な”ファクター”とは?(次ページ)