食中毒にならない「ハゲタカ」
ハゲタカに食中毒はないようです
デンマーク・コペンハーゲン大学のマイケル・ロゲンバック氏は、「ハゲタカが摂取する有毒細菌への対処について、体内で進化による強力な適応が起きたことを、われわれの研究結果は示している」と語っています。
私たちの生態内でもハゲタカほどではありませんが、感染防御の仕組みが備わっており、その違いにより同じものを食べても「食中毒になりやすい人」と「食中毒になりにくい人」がいることがわかっています。ある調査では、同じ給食を食べ、検便でO-157が検出された児童の症状を調べたところ、入院が必要になった児童は全体の12%、下痢のみの軽い症状だった児童は全体の58%、何の症状も出なかった児童が30%いたという報告もあります。
「食中毒になりやすい人」と「食中毒になりにくい人」の違いとは、どのような点にあるのでしょう?
食中毒になりやすい人の6つの要因
食中毒になるには個人差があります。要因は以下のように大きく6つに分けることができます。- 腸内に善玉菌が少ない
- ストレスが多い
- 胃酸が少ない
- 年齢や体調
- 食べる際の鮮度や量
- 血液型
どのような点が関係しているのか具体的に考えてみましょう。
食中毒になりやすい人の特徴とは
1、腸内に善玉菌が少ない日常の食事にヨーグルトを取り入れるのも効果的です
2、ストレスが多い
ストレスがあると自律神経のバランスが崩れて、免疫力が下がるということが研究により証明されています。また、ストレスは、腸内細菌のバランスを崩し悪玉菌を優勢にするということもわかっています。ストレス過剰な状態は、病気にかかるリスクが高い状態ともいえます。
3、胃酸が少ない
胃酸は多すぎると胃潰瘍や逆流性食道炎の原因となることもありますが、逆に少なすぎると胃の中に入ってきた菌を殺す力が弱まるという欠点があります。胃酸を抑える薬を飲んでいたりして極端に胃酸の量が少ない人は、腸管感染症をきたしやすい要因の一つといわれています。
4、年齢や体調
若年者や高齢者は免疫力が低下していることが多く、感染症にかかりやすく、さらに重症化しやすいとされています。健康な人でも、過労や睡眠不足など体調不良があると免疫力が低下しているので要注意です。
5、食べる際の鮮度や量
生鮮食品は早めに調理しましょう
また、体の中に入る菌の量でも食中毒を発症するかどうかが異なります。通常は、食中毒菌を1~2個摂取しただけでは発症しません。発症するにはある程度の菌量が必要ですが、少ない菌量で食中毒を発症するものと、多くの菌を摂取しないと発症しないものがあります。腸管出血性大腸菌やノロウイルスは、少ない菌の量でも食中毒を発症する感染力が強いものです。菌を多く取り入れると、それだけ食中毒を発症するリスクが高くなります。
6、血液型
ノロウィルスには複数の種類が存在しますが、ノーウォーク類似型に関してはB型の血液型の人には感染しないことがわかっています。理由は、ノロウィルスが結合するためのレセプターをB型の人は持っていないためのようです。ただし、ノーウォーク類似型以外のノロウイルスには感染するので、まったくあたらないわけではありません。
以上のように、食中毒を発症するには様々な要因があります。予防するには、体調が悪いときは生食は避け、もしも食べる場合には十分に加熱するよう心がけましょう。