出身校も
沢村貞子と橋田壽賀子では広岡浅子が設立に関わった日本女子大学出身というのも共通点。『はね駒』のモデル、女性新聞記者の草分けである磯村春子も日本女子大学で学んだようで、世代的には広岡浅子と接点があるかもしれません。磯村春子は一方では津田塾大学の創始者、津田梅子に師事しています。手塚理美主演の朝ドラ『ハイカラさん』(1982)のヒロインは架空の人物ですが、日本初の女性留学生である津田梅子と山川(大山)捨松とともに留学していたとの設定でした。
山川捨松が会津藩士の子女であるため『八重の桜』にも津田梅子(河北麻友子)と山川捨松(水原希子)は登場しています。
娘がいつもお世話になっております
沢村貞子の元夫は藤原釜足、弟は加東大介で共に黒澤映画の常連俳優。兄・四代目澤村國太郎の妻は日本映画の父とよばれる牧野省三の四女。そのため甥の長門裕之・津川雅彦などマキノ人脈につながっていくのですが、朝ドラで映画を扱った『ロマンス』(1984)『オードリー』(2000)は共に特定のモデルがいないのでつながっていきません。沢村貞子からつながりそうなのは黒柳徹子の筋。NHK『若い季節』(1961~1964)で共演して以来、黒柳徹子から「かあさん」と慕われたそうです。黒柳徹子の実の母、黒柳朝は『チョッちゃん』のモデル。二人は同世代なので「娘がいつもお世話になっております」というあいさつが交わされた可能性は強くあります。
藤田弓子、衝撃の一言
全4作ある橋田脚本の朝ドラ、『春よ、来い』以外でモデルがいるのは初めて朝ドラを手掛けた『あしたこそ』。原作は『天国にいちばん近い島』などの森村桂作品で、モデルも本人。脚本を書くための取材として原作者にはなしを聞いている可能性は高いでしょう。『あしたこそ』と『春よ、来い』は世界が微妙に交錯しています。
『あしたこそ』主演の藤田弓子は『春よ、来い』ではヒロイン・高倉春希の親戚のおばさん・豊田りき役で出演。春希が脚本家になって、はじめて朝ドラを書いた時に何が起きるのか?安田成美降板騒動があるなど評価は芳しくない『春よ、来い』、ガイドは後半はその点を楽しみに見ていました。
そしてその時はやってきました『あしたこそ』の藤田弓子の姿が映ったのを見たりき(藤田弓子)は「あら、この娘かわいいわね」と自己言及したのでした。