アギーレ契約解除は当然の判断
アギーレが契約解除に。後任には外国人監督が有力視されているが……。
その一方で、日本代表は3月下旬にチュニジア、ウズベキスタンとのテストマッチを控えている。6月にはロシアW杯アジア予選がスタートする。
国内でJリーグをチェックし、欧州では海外組を視察しなければいけないなかで、代表監督が自らの身の潔白に時間を割いている猶予はない。アジアカップ終了後にアギーレは休養を取っていたが、本来なら国内各地で行われるキャンプめぐりをするべきだった。代表監督の仕事は、試合で采配をふるうだけではないのである。
ここからチーム作りを加速させていくタイミングで、代表監督が選手をチェックできない。合宿に遅れてしまう。アギーレ続投はそうした事態を招きかねず、代表強化の停滞は避けられない。アギーレが連れてきた外国人コーチ陣も含めて、契約を解除するのは必然的な判断である。
彼の手腕は問題ではない。代表チームの強化が滞ってしまう可能性を排除することが、何よりも重要だったのだ。
外国人優先の人選に異議あり
アギーレの後任は誰なのか。Jリーグにゆかりのある外国人監督の名前が、メディアを賑わせている。ヨーロッパ各国リーグはシーズンの真っただ中で、そもそも有力な人材はフリーの立場にない。かつてJリーグで仕事をしたブラジル人が、有力な後任候補として浮上するのはそのためである。
外国人監督を最優先とした選考に、僕は反対である。なぜ外国人監督にするのかという理由が、かねてから曖昧だからである。
名前の通った外国人監督は、強豪国とのマッチメイクを後押しするという意見がある。否定はしない。監督同士が知己ならば、「じゃあ、今度試合をしようか」となってもおかしくない。
しかし、国際的な知名度を持たない岡田武史監督の指揮下でも、2009年9月にオランダと敵地で対戦している。同年11月には、ワールドカップ開催を控えた南アフリカともアウェイで対戦した。監督という看板に頼らなくても、有効なマッチメイクはできるのだ。
マッチメイクで大切なのは、誰が監督なのかではない。「日本と試合をしたい」と相手側に思わせることである。つまり実力だ。
それでもマッチメイクに不安があるなら、歴代の代表監督に橋渡しをお願いすればいい。
南米の強豪と対戦したいなら、ジーコを頼ってみる。イタリアならザッケローニだ。東欧諸国との対戦が望みなら、イビチャ・オシムにコンタクトを取る。メキシコと戦いたければ、アギーレに相談できる。かつて日本代表で仕事をした彼らなら、快く仲介役を引き受けてくれるに違いない。
>>日本人監督を選ぶことのメリットはそのほかにもある。