ビッグネーム獲得より計算できる補強が優先
今シーズンの移籍は、すでに実績のある選手の動きが目立った。
昨シーズンは現役ウルグアイ代表のディエゴ・フォルラン(36歳)のセレッソ大阪入りが大きな話題を集めたが、2015年はかなり静かなシーズンオフとなっている。
すでにJリーグで実績のある選手が、横滑り的に他チームへ移籍するケースがほとんどを占めている。しかもピンポイントで戦力を補うチームが多く、リーグ内のパワーバランスに大きな変動はない。
そうしたなかで主役を演じたのは、2006年以来の優勝を目ざす浦和レッズだ。リーグ戦と並行してAFCチャンピオンズリーグ(以下ACL)に出場する浦和は、過密日程に耐え得る選手を揃えた。
複数タイプのアタッカーを揃える浦和レッズ
攻撃陣の補強は手厚い。まずは石原直樹(30歳)だ。浦和に似たシステムを採用するサンフレッチェ広島からの加入は、戦術的に素早くフィットすることを意味する。13年、14年と2年連続で2ケタ得点をマークした決定力に加え、ストライカーでもサイドアタッカーでもプレーできる。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(57歳)に、多様な選択肢を与えるアタッカーだ。現役スロベニア代表フォワードのズラタン・リュビヤンキッチ(31歳)も、複数のポジションをこなす。2012年夏から大宮アルディージャでプレーしてきただけに、日本のサッカーにはすでに馴染んでいる。
サイドアタッカーのスペシャリストも加わった。武藤雄樹(26歳)と高木俊幸(23歳)だ。
ベガルタ仙台から移籍した武藤は、スピード豊かな突破力が魅力。元プロ野球選手の高木豊氏を父に持つ高木は、高精度のクロスでチャンスを演出する。前所属の清水エスパルスでは、アシストだけでなく得点力も示した。
柏レイソルから新天地を求めた橋本和(28歳)は、左サイドのスペシャリストである。ペトロヴィッチ監督の戦術では、中盤を任されることになりそうだ。また、最終ラインには加賀健一(31歳)が加入した。ジュビロ磐田やFC東京でプレーしてきた彼は、センターバックとサイドバックでプレーできる。浦和は守備陣の手当ても万全だ。
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