ただ、一連の流れは同じでも、各医療によって健康や病気の考え方が異なるため、診察・診断結果は必ずしも一致するとはいえません。とくに治療法に関しては圧倒的な違いがあるように思います。
たとえば、東洋医学では風邪を考える際、体質や症状の種類・程度・進行状態、原因、季節などを考慮していきます。そのため、漢方薬だけでなく鍼灸治療、薬膳など無数の方法があり、さらに多数の処方が存在します。その理由は、私たちそれぞれに個人差があるからです。
「個の医療」といわれる東洋医学。その所以を紐解いていきましょう。
東洋医学は個々の体質を重視し、治療に当る
私たちにはそれぞれの体質があり、それによって罹りやすい病気や病気の進行・程度・予後などがある程度決まっていると東洋医学では考えます。そのため体質を知ることはとても重要なことです。そこで私たちの指標となるのが「気・血・水」と呼ばれる、東洋医学独特の栄養物質の偏りを調べる体質チェックが重要となります。
食事と空気、生まれ持った生命力が五臓六腑に入り、気血水を作り出します。その気血水は人体を構成し、活動を活発にする基本物質となります。気血水がいつも多い・少ない状態はバランスが悪く、病気を起こす根本的な理由になり得ます。よって東洋医学では体質を重視するのです。
■気血水チェック表
下記の画像は、簡単に気血水をチェックできる表です。気血水の体質は6種類に分けられ、当てはまる項目が一番多いのが気血水の体質となります。
気虚とは気が不足している状態、血虚は血が不足している状態、水虚は津液不足ともいい、体内の潤いが不足している状態を指します。また、気滞とは気が滞っている状態、血オとは血の塊があり流れが滞っている状態、痰湿とはネバネバした水の塊が滞っている状態です。