流氷ダイビング!
毎冬、北海道の各地で「流氷初日」「流氷接岸初日」が観測されると、流氷のシーズンがやってきます。オホーツク海では、12月の初め頃、北部のシベリア大陸沿岸で最初の流氷が生まれます。凍る範囲は、次第に南へ広がっていき、1月中旬には北海道付近の海水も凍り始めます(海水はマイナス1.7℃になると凍り始めるそうです)。流氷群の面積がもっとも広くなるのは、3月の中頃で、オホーツク海のおよそ80%が流氷原になります。
そんな流氷の下に広がる幻想的な海の世界を楽しむことができるのが「流氷ダイビング」。海面を覆う氷に穴を開け、ダイビングを楽しみます。北海道では流氷がしっかりと接岸する2~3月にかけて、知床半島西側のウトロや東側の羅臼(ラウス)で開催されており、世界遺産にも登録されている雄大な自然の中、特別な体験をすることができます。
外気温マイナス15度、水温マイナス2度という過酷な条件下でのダイビングではあるものの、しっかりと防寒対策をして臨めば、慣れてくると意外と快適。ひとたび海中に足を踏み入れれば、氷の隙間から光のカーテンが射し込み、「流氷の天使」クリオネが可憐に舞う姿が見られるなど、そこに広がる幻想的な光景に誰もが感動することでしょう。エゾクサウオやハナイトギンポ、カジカの仲間など北の海に棲む生物も数多く観察でき、流氷がもたらす海の豊かさを感じることができます。
上記のように水温が氷点下ということもあるため、防寒対策は必須。ドライスーツの下にしっかりとインナーを着こむことはもちろん、生地の厚いミトンタイプのグローブ、目と口のところだけが開いたタイプのフードなど、より保温効果の高いグッズを利用することがおすすめです。
また、一般的なレギュレーターの場合、ファーストステージが凍りついてフリーフローを起こす(空気が出っ放しになる)可能性があるため、寒冷地仕様のレギュレーターを使用するのがベストです。
それだけの防寒対策をしても、やはり寒さは感じるものですが、1ダイブで潜っている時間は15~20分ほど。幻想的な世界に目を奪われていると、時間はあっという間に過ぎていきます。1日2ダイブが基本なので、午後2時過ぎにはすべて終了し、アフターダイブの時間もたっぷり。流氷ウオークなどのアクティビティを楽しむのもいいし、温泉にゆったり浸かったり、北海道ならではのおいしい料理に舌鼓をうつのもおすすめです。
このように、魅力がいっぱいの「流氷ダイビング」。その魅力にハマり、毎年のように通うダイバーもたくさんいます。ただ、かつては毎年びっしりと海を覆っていた流氷も、温暖化の影響からか近年は減少傾向にあり、「2020年には流氷は来なくなってしまうかもしれない」という説も。ぜひ皆さんも、幻想的な氷の海の世界を楽しむと共に、この美しい環境を後世に残すために何ができるか、一緒に考えていただければと思います。
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