広く、緑豊かなキャンパス
四国大学はJR徳島駅から路線バスで15分ほど、四国三郎とも呼ばれる吉野川を間近に見るところにある私立大学です。前身は1925年に創設された徳島洋服学校で、1961年に短期大学、1966年に四年制大学、2009年に看護学部を開設しています。四国大学キャンパス
保健師教育は選択性を採用し、定員80人に対して25人程度の枠を設けています。履修希望者は2年時前期が終了した時点で申請を出します。もちろん選抜も行われ、基準となるのは、
- 2年前期までの成績
- 筆記試験:公衆衛生看護学1(必修科目)からの出題
- 意欲
地域診断と健康教育を柱にした実習
4年生から始まる保健師実習の現場は、県内の24市町村の中から10ヶ所以上の自治体に振り分けて行われます。誰がどこに行くかは、学生の住まい(実家)などの条件を考慮して交通費の負担が増えないよう配慮されます。県の実習は、実習市町村を管轄する県内6ヶ所の保健所に振り分ける形になっています。産業保健の実習は、公衆衛生看護の枠ではなく、総合実習という形で体験します。これは大塚製薬や日亜化学工業(保健所実習での関わり)など、徳島を代表する企業にお世話になることが多いといいます。
ちなみに、四国大学の看護学部で取得できる資格は看護師のほか「保健師」、「助産師」、「養護教諭及び高等学校教諭(看護)一種」の3つがあり、3つのうちいずれかひとつだけ選ぶことができる仕組みになっています。
保健師実習の内容は地域診断と健康教育の2つが大きな柱になっています。そのうち、地域診断についてはレポートを作り、実習中のカンファレンスの中での発表があります。その場で地域(実習先)の保健師から助言を貰うようにしていることが、特長といえるでしょう。ほか、個別指導、集団指導、地域診断の演習などをできるだけ取り入れながら、グループ討議やロールプレイングを実施するという、ただ聞くだけの授業にしない工夫も取り入れています。
自主性を大切にする校風
看護学部全体のポリシーとしては、自主性の育成を大事にしようと、看護理論演習(1年次)、課題探求ゼミナール(2年次)、看護研究(4年次)といったゼミナールを全看護教員が受け持ち、少人数で熱の入ったディスカッションを行うことに力を入れています。左から吉村尚美助教、武田道子准教授、辻京子講師
このような教育体制から分かるのは、四国大学では幅広い視野を持った看護職を育成する教育を実施しているということです。実際、保健師教育を担当する武田道子准教授の次のような言葉からも伺い知ることができます。
「私はいい看護師を育てていくという気持ちで仕事をしています。幅広い視野をもった看護師、退院指導のできる看護師、在宅の患者に目を向けられる看護師、生活をみる力のある看護師、集団的な視点のある看護師……。そういう看護師を育てていくことが大事だと思っています。その中から保健師の仕事をぜひともしてみたいという学生が出てくることを期待しています」
保健師も看護師の中のひとり。基本は同じ、違う仕事ではないことが伝わってきます。武田准教授は徳島県の保健師を30年近く勤め、そのうちの半分は県立の看護学校で保健師教育もしてきたといいますから、とても重みのある言葉ですね。
受験生へのメッセージ
四国大学を目指そうと考えている人へ武田准教授からのメッセージです。「本学は学生一人当たりの教職員数が多く、学生ひとりひとりに対して決め細やかな指導ができていると思います。ゼミナールも実習指導でも、その利点は生かされています。看護教員も現場経験豊富な人たちが揃っていますので、より現場に近い教育を受けることができます」
もうひとつ、保健師の魅力について、こんなお話もありました。
「長期的に人に関わることができる仕事です。それは直接的看護ケアだけでなく、健診を受けない人へのアプローチなど、人々の目に直接触れないところでも役立っています。ある意味おせっかいな仕事なんですけれど、こちらから関わらなければ大きな問題になっていることも多く、大きな病気に繋がることも家庭が壊れたりすることもあります。それを防ぐことができるのが保健師なのです」
(大学データ)
四国大学看護学部看護学科地域看護学:武田道子准教授/辻京子講師/吉村尚美助教
定員:80人
保健師コース定員:約25人
保健師コース最終選抜時期:2年前期終了時