1年制の保健師学校

佐賀県立総合看護学院は全国でも残りわずかとなってしまった保健師学校のひとつです。学校の場所はJR佐賀駅バスセンターから佐賀市営バスで7分ほどの佐賀中部病院前下車、徒歩3分ほど。校舎はアーリーアメリカン調のとても美しい建物で『空間が人を育てる』をモットーに造られたといいます。

学科は看護、助産、保健と3つに分かれ、看護が3年制、助産と保健がそれぞれ1年制です。

入学条件は看護師免許取得者か看護師学校養成所修了者

保健学科は普通科の高校を卒業後すぐ入学することはできません。基本的に看護師免許を持っている人たちのものなのです。もちろん、同校の看護学科に入り、その後保健学科という3年+1年の学び方もありますが、特別な枠があるわけではありません。外部からの受験生と同じように試験を受け合格することが最低条件となっていますのでお間違えなく。

ちなみに、看護学科から保健学科に入学する学生は毎年4~10人ほどと多いです。同じ敷地内で看護の勉強をしている時から保健学科の様子がよく分かること。1年でみっちり勉強するコースなので大変さはあるものの、充実したカリキュラムに興味を持つ学生が多いからだと思われます。また、選択制を採用する大学がほとんどとなり、編入生が保健師コースに進むことができないケースが増えてきた背景もあるようです

学費はかなり安いほうです。県立ということもあり県内者の入学金は10万円(県外者は20万円)ですし、授業料も月額3万円。他に教科書代や教材費などがかかりますが、看護師免許取得後に大学編入するより確実に安いわけです。

1年かけて行う内容の濃い家庭訪問実習

保健学科の定員は20人です。当然のことながら全員が保健師資格を取得することを第1に目指しています。つまり、全員が同じ目標に向かって共に頑張る体制ができているわけです。授業は朝8時50分から90分単位で16時10分までの4限が基本です。

実習で特長的なのは、1年間かけて家庭訪問を行っていることです。これは母子、成人か高齢者に対して継続して年に5回ずつあり、最初の訪問こそ教員や実習指導者と共に行きますが、2回目以降はひとりで行くというスタイルです。ほか、市町で2週間、保健所が3週間の実習が組まれ、どの現場でも、すでに看護師免許を持っている学生がほとんどということで、より深い関わりがもてます。

専任教員はまさに現場保健師。教育のリアル感が違う

講義も保健師学校ならではの濃厚さがあります。ただ聞くだけの授業ではなくグループワークが多いのでどんどん発言をしないといけません。定員20人なので尚更です。入学してしばらくはこの方式を負担と感じる消極的な性格の学生もいるといいます。ただ、続けていくうちに成長します、と話すのは教務部長の南里玲子先生。

「卒業たちがよく言うのです。学校で何を学んだかも大事だけれど、誰と学んだかも大事だったってね」

と付け加え、共に学ぶ学生同士の絆は後々大きな財産になることを力説していました。

左から古川智子専任教員、南里玲子教務部長、片渕信子専任教員

左から古川智子専任教員、南里玲子教務部長、片渕信子専任教員

また、専任の先生たちは全員が県の保健師で、数年ごとに現場と学校を異動しています。つまり、現場の保健師が教員をしているようなもので、よりリアルな保健業務について学ぶことができます。

さらに、外部講師が約80人もいること。現場の保健師に事例を話してもらう講義では、教員と顔見知りの方ばかりだから的を得たよりよい講義になる。県内保健師の約60%がこの学校の卒業生なので、佐賀県内での就職を考えるのならとてもいい環境であるといえるでしょう。

何より、先生たちがとてもいい笑顔で、楽しんで仕事をしていることが伝わってくる学校です。

専任教員からのメッセージ

「保健師は幸せな職業です。人の一生に関わり、時にその方の生き方や生活を変えるきっかけを作るかもしれない仕事です」(南里教務部長)

「人の気持ち、思いをくみとり、人間性を大事にする保健師を育てたい」(古川主任教員)

「1年という短い期間なので、勉強は決して楽ではありません。でも、卒業生のアンケートをみると『ここに来て良かった』と応えてくれる人が多いのが私たちの誇りです」(片渕主任教員)

(学校データ)
佐賀県立総合看護学院保健学科:南里玲子教務部長/古川智子主任教員/片渕信子主任教員
定員:20人
入学資格:看護師免許取得者もしくは、保健師助産師看護師法第21条各号のいずれかに該当する者

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