大学卒業後、就職して3年以内に3割の人が退職

仕事を続ける?それとも辞める?

仕事を続ける?それとも辞める?

春先になると、リクルートスーツに身を包んで、真剣な面持ちであちこちの会社をはしごして回る、就活中の大学生を見かけるようになります。大学生やその親御さんにとって、就活はいい会社と出会って一生働くための重要な活動であり、そのためにたくさんの時間やお金、労力をかけてがんばっていることでしょう。

ところが、そうして苦労して入社した企業でも、大学を卒業して就職後、3年以内に3割以上の人が辞めているというショッキングなデータがあるんです。
学歴別卒業後3年以内離職率の推移

学歴別卒業後3年以内離職率の推移

厚生労働省の「新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移」によると、大学を卒業した人のうち、1年以内に退職をしている人が13.1%、2年目に退職している人が10.3%、3年目に辞めている人が8.9%。合計すると、大学卒業後に就職した人の32.3%が3年以内に退職していることになります。(いずれのデータも平成24年3月卒業者が対象)。

中学校を卒業して就職した人の65.3%、高校を卒業して就職した人の40%が3年以内に会社を辞めている数字も併せて気になるところではありますが、話を先に進めます。

「会社の経営方針に不満を感じた」
「給与、報酬が少ない」
「労働時間が長い、休みが取れない」
「人間関係がうまくいかなかった」
など、辞める前にはいろんな理由があると思いますが、一時的な感情で会社を辞めるのは自分のためになりません。正社員という身分を失った後で、「こんなはずではなかった……」と後悔しないためにも、いま、自分が持っている正社員のメリットを、再確認しておきましょう。

賃金格差は年齢とともに広がる

20代の頃は、正社員も非正社員でも、同じ職場で同じ時間働いていたとしたら、手取り月収にはそれほど大きな差はありません。そのため、いまの会社であまり納得がいく働き方ができていない場合には、仕事のやりがいや良好な人間関係を求めて、派遣社員や契約社員といった働き方に移りたくなることだってあるでしょう。

ところが、年齢が上がるにしたがって、雇用形態による格差は拡大していきます。

厚生労働省の「平成27年賃金構造基本統計調査」によると、女性正社員の平均賃金は入社以降なだらかに上昇し、50代前半の29万4400円がピークになります。それに対して、非正社員の平均賃金は30代前半の18万8300円をピークに緩やかに下降していきます。
雇用形態別賃金の推移(女性)

雇用形態別賃金の推移(女性)


20代の頃にはそれほど感じられなかった格差が、年齢を重ねるごとにじわじわと広がっていくことになります。

それから、非正規雇用の場合には、雇用の継続が約束されていないことが大きな不安要素となります。景気の良し悪しによって人員調整が行われますし、実際に派遣社員として働いている人々からは「40歳が近づくにつれて、次の仕事が見つかるまでの間隔が長くなった」「次の仕事が決まらないのではと不安に感じる」という声も聞こえてきます。

契約期間のブランクが給料のブランクを即意味する派遣社員・契約社員となると、常に仕事があってお給料日には毎月決まって給料が振り込まれる正社員とは違う不安がやってくることも覚悟しておきましょう。

また、男性のグラフと比べてみると、正社員の賃金の伸び方もずいぶん違いますが、非正規雇用の男女の賃金ピークが全く違うことに気がつきます。

雇用形態別の賃金推移(男性)

雇用形態別の賃金推移(男性)



正社員はお給料以外のメリットもいろいろ

正社員は、退職金や年金など老後の生活保障も手厚い

正社員は、退職金や年金など老後の生活保障も手厚い

お給料明細を見ると、厚生年金保険料や健康保険料などとしてかなりの額が差し引かれて悲しく思うことがあるかと思いますが、実は個人が支払っているのと同額かそれ以上を会社が上乗せして支払っています。

こうした社会保険料の他にも、会社のお金で研修を受けてスキルアップし、雇用が比較的守られている正社員は、かなり恵まれた働き方といえます。日頃当たり前と思っていることが、実は当たり前ではないということを知っておきたいですね。

辞めたい!と思ったときには、会社が負担しているコストにふさわしい働き方ができているかを振り返ってみると、毎日の仕事への取り組み方も変わってくるかもしれません。将来、転職をする場合でも、今いる会社でできるだけのことをしておくことが、転職価値を高める第一歩です。ポジティブ思考で毎日の仕事をがんばっていきましょう。

転職する場合、ブランク期間が長くなるほど復職へのハードルは高くなります。希望する職種に就けない、希望する労働条件で働けないなど、キャリア選択の幅がだんだん狭まっていく可能性がありますので、次の仕事はできるだけ、在職中に確保しておいた方が安心です。

女性は妊娠・出産でもかんたんにはやめないで

また、これから出産を考えている人も多いと思いますが、ひと昔前に比べると、子育てをしながら働きやすい環境は、これでもずいぶん整ってきました。在職期間中に保育園を確保するのもなかなか大変ではありますが、一度会社を辞めて求職状態になってから保育園を確保するのはその何倍も大変です。子育ては最初に負担が集中する一方で、あとからどんどん楽になります。周囲のたすけ、制度、お金を上手に活用しながら、働き続けるという選択肢もギリギリまで残しておくことをお勧めします。

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