行政が行う遭難救助費用は基本的に請求されない
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ここで気になるのが、遭難した場合の救助費用は一体誰が負担するのか、という点。実は遭難救助を行政が行うのか、民間で行うかによって、費用負担者は異なってきます。行政が救助を行う場合には基本的に費用は請求されません。一方、民間が救助を行う場合には当然費用請求されることになります。この救助に関して、費用という観点から、どれぐらいかかるのか、またどういった場合に請求されるのか、解説をしていきたいと思います。
民間のヘリコプター救助、費用負担は一時間で50~100万円!?
行政が救助を行うケースでは基本的に費用は請求されないと書きましたが、救助においては、必ずしも行政が行うとは限りません。まず、遭難などにおいて救助を要請する場合、一般に警察や消防のヘリが出動することになります。しかしながら、いつでも救助のために準備されているわけではありませんし、遭難現場の気候条件などで飛ぶことができないといったこともありえます。そのため、こうした理由などから行政のヘリによる救助が難しい場合には、民間のヘリが出動することがあります。民間のヘリの場合、1時間程度のフライトで45~50万円程度。救助隊員の費用などを含めれば、場合によっては1時間程度の捜索でも50~100万円ほどになることもあるといわれています。広域捜索の場合には、さらに時間がかかることから費用もかさむことになります。
捜索は命にかかわることですから、お金どうこういっている場合ではないものの、救助には場合によっては多額の費用がかかることは知っておくべきでしょう。ちなみに、遭難の捜索・救助費用に備える保険として、「レスキュー費用保険」という保険があるぐらいですから、登山が趣味の方などは加入しておくのもリスク制御という観点からはよいかもしれません(もちろん、そもそも山に登らない、スキーに行かないといった方法でリスク回避を行う方法もありますが)。
なお、自衛隊のヘリに関しては、御嶽山の噴火のような大災害時には、都道府県知事から要請があった場合に利用され、救助費用は税金でまかなわれることになります。海難救助の場合には、海上保安庁や水難救済会が行う救助活動では費用は請求されません。ただし、民間のマリーナ等に救助依頼することがあった場合には、救助捜索費用を請求されることもあるようです。
この他、全国の自治体においては、「スキー場安全条例」といった条例を定めるケースがでてきている点も知っておきましょう。2010年に全国で初めて長野県野沢温泉村が制定しました。この条例では、スキーやスノーボードのコース外で遭難した場合、捜索救助費用を遭難者が弁償することを定めています。ゆくゆくは、遭難救助は遭難者が負担するのが当たり前の時代となっていくのかもしれませんね。
電車遅延などは損害賠償が請求されるのか!?
もう一点、気になるところで電車遅延の場合には費用が請求されるのかどうか解説しておきます。電車遅延に関しては、どのような理由で遅延させたかによって費用が請求されるかどうかは異なってくるようです。鉄道各社によっても対応が異なるようですが、基本的には人身事故による電車遅延の場合には損害賠償を請求されるケースは少ないようです(ただし、中には数百万円など裁判で請求することになったケースもあり、振替輸送がどの程度生じたかなど状況によって異なってくる模様です)。だからといって、一度しかない人生を無駄にしないでください。明日を生きていれば必ずいいことはありますから。ちなみに、置石をおいて電車が脱線、死者が出た場合には、死刑もしくは無期懲役といった重罰が科されることになります。決してふざけて行ってはいけません。
以上、遭難救助をはじめ、費用がどれぐらいかかるのかについてみてきました。当たり前ですが、一番肝心なことは遭難といった状況にならないこと。人に迷惑をかけないことがなによりです。
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