2025年には3人に1人が高齢者の時代に

介護予防は国民全体にとっての課題

介護予防は国民全体にとっての課題です

いわゆるベビーブーム世代が75歳以上になる2025年、日本の高齢者人口は約3500万人(人口比約30%)に到達すると言われています。これにより、高齢者にかかる医療費および介護費等の社会保障費は現在の3倍前後にまで増大することが予測されており、国民一人一人が住み慣れた地域で自立した生活を継続して営んでいくための議論が活発に行われています。

そこで、国や地方自治体が積極的に取り組みをはじめているのが、加齢や疾病などにより生じる要介護状態を防ぐ、または要介護状態になってもその進行を遅らせることを目的とした「介護予防」の推進です。厚生労働省が中心となって行う介護予防事業には、以下の3つに大別されます。

  1. 「一次予防」
    活動的な状態にある高齢者を対象に生活機能全般を維持・向上させることを目的とした取り組み

    例:介護予防教室や相談会の開催による普及・啓発活動、介護予防に関わる地域ボランティアの育成や地域コミュニティ形成支援など
     
  2. 「二次予防」
    要支援・要介護状態に陥る可能性が高い高齢者を早期発見し、状態の悪化を遅らせることを目的とした取り組み

    例:保健師による訪問指導、生活機能の基本チェック、栄養士による栄養指導、配色サービス、歯科衛生士による口腔機能向上を図るための相談会、閉じこもり防止を目的とした外出支援、緊急通報システムの設置など
     
  3. 「三次予防」
    要支援・要介護状態となった高齢者に対し、運動機能・栄養状態・口腔機能の改善や重度化を予防するための取り組み

    例:訪問看護やリハビリテーション、通所サービス、合併症の予防・改善を目的とした医療サービスなど

高齢者の主体性と居場所の確保に対する支援

また、これらの取り組み以外にも高齢者一人一人の生活の質(quality of life)向上に対する支援の重要性が課題として加えられています。そのため、単に高齢者の運動能力や栄養状態が良好で、基本的な日常生活の自立度が維持されているだけではなく、家庭以外での居場所の確保や地域コミュニティへの参加など、高齢者自身が主体的に社会生活への興味関心を高め、積極的に参入できるよう支援することが重要視されます。

介護予防は国民全体にとっての課題

介護予防の概念自体は決して新しいものではありません。しかしながら、未だ「介護予防は高齢者だけの問題」と認識されているのが現状ではないでしょうか。

2000年4月に施行された介護保険法第4条では「国民の努力及び義務」として「国民は、自ら要介護状態となることを予防するため、加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の増進に努める」という条文があるように、本来、介護の問題は高齢者だけに課されたものではないのです。今までおろそかにされていた分、その負担を背負うのは高齢者ではなく、若手世代であることを今こそ認識しなければなりません。

「介護離職」が社会的な問題に

高齢者介護の問題が若手世代に及ぼす影響は、もう既に始まっているといっても過言ではありません。特に、家庭介護に対する問題が大きな社会問題になろうとしています。出生率の低下による人口減少、核家族化や非婚率の上昇を背景とする現代社会では、特に、家族や親の介護を理由とした「介護離職」に対する不安にますます拍車をかける恐れがあります。

2013年に総務省が行った調査によると、働きながら介護をする人は290万人に昇る一方、毎年10万人もの人が介護を理由に離職し、再就職の割合も非常に低くなっていることが明らかにされています。再就職したものの、年収が大幅に下がり、子供の教育費はもちろんのこと、生活そのものの維持が困難となってしまうケースも珍しいことではなくなっているのです。

若手世代に知ってほしい「ゼロ次予防」とは?

そこで、最近関心が集まりつつあるのが介護予防における「ゼロ次予防」の重要性です。ゼロ次予防とは、国や自治体が中心になって行う一次予防より以前の段階で行うものを指します。

若い世代から「要介護状態になりにくい身体」を作るためには、どのようなことを意識していったらよいのでしょうか。次回以降の記事ではその具体例について考えていきます。



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