第1回では「現代美術はどういうものなのか」を、第2回では「西洋美術と日本画から現代美術を考えること」を知ることができました。本シリーズ最終回の今回は、さらに別のジャンルから現代美術について見たとき、その価値と内容を考えていきます。まずは、ファッション関係の会社が運営する現代美術のギャラリーでディレクターを務める戸塚憲太郎さんにお話を伺います。


ファッションとアートの違いは「商業化」

藤田
戸塚さんのギャラリー「hpgrp GALLERY TOKYO」は、現代美術の作品を展示するだけでなく、国内外でアートフェアを主催・出展しています。かたやギャラリーの母体であるファッション業界は、服を見せるお店だけでなく、販売もするという流れで、似ているけれど、でもアートとは何かが違います。何が、どう違うのでしょうか?

戸塚
hpgrp GALLERY TOKYO 展示風景

hpgrp GALLERY TOKYO 展示風景

違いは多くあると思いますが、業界的な違いは商業化の程度の差だと思います。

藤田
ショウギョウカとは?

戸塚
ファッションは、生産から消費までのルートが明確です。物流や展示会、PR、媒体などが関わることで「売ること」を目的の一つとしたシステムが出来上がっているため、ビジネスとしての業界が存在します。一方、美術は知識が必要であるようなアカデミックな部分と、作品を販売するようなビジネスの部分が混在しています。さらに、作品の価値付けや流通、広報システムも不明瞭です。だからファッションと美術の差は大きく、美術「業界」自体がどこに存在しているのかさえ見えづらい状況だと思います。

藤田
逆に、似ている部分はありますか。

戸塚
ファッションと一言で言っても、実は多種多様。リンクする部分は、多々あると思います。

藤田
確かに、1万円で数着も買うことができるファストファッションもあれば、1万円でTシャツも買うことが出来ないブランド物もありますよね。

戸塚
弊社H.P.FRANCEで扱っているファッションは、最低限必要な「衣」ではありません。そこにクリエイティビティやデザイン、思想といった高付加価値のある商品なのです。その高付加価値という部分が美術の敷居の高さと似ている部分ですし、そういった商品を求める方々は、生活に中に美術を取り入れる感覚をすでに持っている人たちだったりします

藤田
だったら、服を買うように、現代美術の作品も買うわけですね!

戸塚
いえいえ、そんな簡単な話ではありません(笑)。

毎年11月に表参道エリアで開かれる「青参道アートフェア」

毎年11月に表参道エリアで開かれる「青参道アートフェア」


 
藤田
戸塚さんの活動を見ていると、現代美術とファッションを近づける努力を感じられます。hpgrp GALLERY TOKYOがある表参道エリアは、ファッションのショップが多いエリアです。例えばそのショップをつかって、戸塚さんは「青参道アートフェア」も開催していますよね。

戸塚
確かにそうですが、お客様にとっては美術作品の購入までのシステムがわかりにくかったり、美術の知識や情報が少ないために実際に所有するまでに至っていないと感じています。

藤田
美術もファッションも、「つくる」あるいは「クリエイティブ」であっても、「見せるプロセス」や「エンドユーザーのありかた」が違うことが分かりました。

hpgrp GALLERY TOKYO 展覧会情報

IRON∞MAN2015
会期:2015年2月20日(金)~3月8日(日)
会場:hpgrp GALLERY TOKYO(東京都港区南青山5-7-17 B1F)
飯島浩二、市川平、角文平、タムラサトル
アーティストグループ "IRON∞MAN" から4名のアーティストが参加するグループ展。

■The EMA Show
会期:2015年3月13日(金)~22日(日)
会場:hpgrp GALLERY TOKYO(東京都港区南青山5-7-17 B1F)
澁谷忠臣、AJ Fosik、高木耕一郎、宮島亜希など、日本をはじめ、南米やヨーロッパから50名以上のアーティストが「絵馬」をアート作品に。

NEW CITY ART FAIR New York
会期:2015年3月5日(木)~8日(日)
会場:hpgrp GALLERY NEW YORK (529 W 20th St. 2W, NYC, NY)