今一度、フランス車に注目を
こんな年だから、輸入車ファンとしてはじっくり腰を据えて、この2年間で登場した多数の“新型車”たちを振り返ってみるのもいいと思う。ビッグネームが多数登場した裏で、話題にならなかったけれども乗り応えのあるモデルは多かったし、注目したい派生モデルも多い。個人的には、今一度、フランス車に注目して欲しいと思う。ドイツ勢ばかりが目立ったここ数年、あまり目立つことはなかったけれど、その実、仏ビッグ3は、なかなか見どころのあるクルマを日本市場にも届けてくれた。
筆頭は、プジョーだ。三ケタ数字のモデル名の末尾を“8”に固定してからというものの、華やかさこそない代わりに、フランス人的合理精神に満ちた実用車を“堅実”に送り出してきた。なかでも、208シリーズと308シリーズは、街中をちょこまか走るデイリーユースから、高速道路をバーンとかっ飛ばすホリデーユースまで幅広くカバーする実力派。
フランス車というと、どうしても“オシャレ”感が先に立ち、そのプラスでハードへの不安を相殺するというイメージが日本のマーケットにはあるけれども、今やそれは過去のハナシ。ヨーロッパ車のなかでも、フランス車こそ日本のクルマ事情に合っているとさえ、ボクは思っている。
プジョーが大フランス主義なら、シトロエンこそ小粋なパリジャン。C4やC5といった主要モデルの賞味期限が近づいているとはいうものの、DS系やデビューしたてのC4ピカソあたりは、実にシトロエンらしいアヴァンギャルドさを湛えている。ドライブしているうちに、乗り手を蕩けさすような、非ニッポン感も露な懐深い乗り味を、いちどは賞味してほしい。
そして、ルノーもまた元気だ。日本のルノーといえば、“カングー&RS”ジャポンと揶揄されるほど、売れ線が両極端に振れていた。もちろん、今でも両シリーズの人気はテッパンで、特にRS系は“FF界のポルシェ”の異名を取るほどに走り派から支持を得ている。
ところが最近では、その“いいクルマ造り”が次第に浸透してきたのか、はたまた最新のユニークなデザイントレンドがウケはじめたのか、キャプチャーや素のルーテシアが人気だ。これは、パワートレインを最新世代としたり、欧州車の基本を味わうことのできるMTモデルを導入したりという、積極的な取組みが功を奏したというべきだ。
そんなルノーからは、おそらく、新型トゥインゴの日本導入もあるだろう。これはメルセデス&スマートと共同開発したRRの専用プラットフォームを持つ完全新設計モデル。新型スマートとともに、“小さな輸入車”ブームを作れるかどうか、期待がかかる。
ルノーの基幹モデルとなるコンパクトハッチバック、ルーテシア。新デザインテーマ「サイクル・オブ・ライフ」を取り入れた初のモデルとなる。スポーティモデルのルノー・スポールも用意、価格は205.5万~317.8万円
そして、2016年からは、次の世代に向けて、また大いなる飛躍を告げる、魅力的な新型車がたくさん登場することだろう。