市販の喘息薬の選び方

なにかと便利な市販薬ですが、喘息の薬に関してはいくつか注意点があります。かえって症状を悪化させてしまう成分が入っている場合もあり、十分な確認が必要です。市販薬を選ぶポイント、薬の成分について解説します。

執筆者:村上 綾

市販薬を買う前に

”ぜんそくに”という表記のある市販の薬は、分類としては鎮咳薬(咳止め)で、喘息または喘息傾向の咳に効果のある薬です。

市販の咳止めや風邪薬にはコデインリン酸塩やジヒドロコデインリン酸塩など、喘息のある方にとってはかえって症状を悪化させてしまう鎮咳成分が入っている場合があります。”ぜんそくに”という表記のある薬にはこれらの成分が含まれることはないので、心配なく使うことができます。

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夜~早朝に好発する喘息

ただ、喘息は慢性的な気道の炎症が病気の主体ですので、その炎症を抑えることが治療の基本です。通常、病院では重症度によって4段階の治療ステップに分けられ、各ステップによって使う薬やその用法が異なります。どのステップでも抗炎症薬のステロイドが喘息治療の基本ですが、軽症例では症状のある時だけ他の薬を服用することもあります。

市販の薬は喘息の症状が毎日の治療薬なしで安定していて、年に数回、喘鳴を伴う咳がでる症状が軽症で短期の場合に、対症療法として(治療ではなく、一時的に症状を抑えるために)服用できます。病院で処方されている喘息薬を服用しているのに症状がでるときは、コントロール不十分で治療ステップを上げることが必要な場合もあるので、病院を受診しましょう。

市販の喘息薬の選び方

製品の構成としては気管支を広げる成分、鎮咳・去痰成分、抗アレルギー薬、生薬などの配合とだいたい似ているので、選び方としては気管支拡張成分として何が入っているかを参考に、注意点などを確認して選ぶといいと思います。その他の成分に関しても簡単に説明します。

■テオフィリン系
(語尾に「フィリン」がつく名前:テオフィリン、アミノフィリン、ジプロフィリン)
気管支拡張作用と炎症を抑える作用を持ちます。副作用として吐き気、頭痛、けいれんなどが起こることがあります。通常、病院で処方されるより入っている量は少ないですが、血液中の薬の濃度に比例して副作用がおこりやすくなるので、特に用法用量を守って服用してください。また、喫煙や他の薬による影響を受けやすいです。服用中の薬があるときは薬剤師に相談してください。ジプロフィリンはテオフィリンよりも吐き気などの消化器症状は起こりにくいです。

テオフィリン系を主成分とする製品名として、「アストフィリン」、「アドレニンエース錠」、「ミルコデ錠」などがあります。

■dl-メチルエフェドリン 
気管支拡張作用があり、鼻づまりなどの鼻炎症状がある場合にも効果があります。生薬成分のマオウが含まれている場合も同じ成分が働きます。薬の効果があらわれるのが緩徐ですが、比較的安全に使用できます。子供から使えます。

エフェドリンを主成分とする製品名として「ミルコデシロップ」、「アスゲン散EX」、「アスゲン錠EX」、「フスコンZ液」などがあります。

■トリメトキノール 
気管支拡張作用、抗アレルギー作用があります。服用後、比較的早く(30分程度で)効果があらわれます。子供からつかえます。

トリメトキノールを主成分とする製品名として、「フストールシロップA」などがあります。

■メトキシフェナミン 
気管支拡張作用、抗アレルギー作用をもちます。

メトキシフェナミンを主成分とする製品名として、「アスクロン」、「強力アスメトン」などがあります。

■その他の成分
  • 抗アレルギー成分:マレイン酸クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、マレイン酸カルビノキサミン
  • 抗炎症成分:リゾチーム、カンゾウ
  • 鎮咳成分:ノスカピン
  • 去痰成分:グアイフェネジン、グアヤコールスルホン酸、セネガ、キキョウ

上記に挙げた点以外にも細かい注意点があるので、店頭の薬剤師に相談しましょう。病院を受診できないときに市販の薬があると頼りになることもありますが、それぞれのリスクとベネフィットを理解し、自分に合った薬を選びましょう。

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