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2015年にマイホームを取得するなら知っておくべきこと(2ページ目)

今回の記事では2014年の住宅取得の環境を振り返りつつ、2015年のそれがどのようになるのかを考える内容です。消費税率10%への引き上げは先送りされましたが、果たしてどうなるのでしょうか。住宅取得に関するお金の話など、気になるポイントについてまとめました。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

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太陽光発電システムは、補助金制度の充実や設備機器のコストダウン、あるいは環境・省エネ意識の高まりから、近年は住宅への採用が積極的に行われるようになりました。特に東日本大震災以降は、その傾向がさらに高まりました。

太陽光発電システムの設置に問題は?

しかし、その動きに水を差すような出来事がありました。今年9月に九州電力による「再生可能エネルギーの固定買取制度」(FIT)に関するアナウンスがそれにあたります。内容は、主に太陽光発電を中心に接続申し込みを「保留」するというものでした。

太陽光発電システム

一昔前に比べ、太陽光発電システムを搭載した住宅をよく見かけるようになった。直近の状況では、補助金の充実や環境意識の高まりなどからマストアイテムになりつつある(クリックすると拡大します)

その後、他地域の電力会社も同様の態度を示したことから、住宅業界に混乱をもたらしました。消費者の間にも「太陽光発電システムは付けない方がいいの?」というような動揺をもたらしたように思います。

これまで説明する機会もありませんでしたので、改めて説明しておきます。まず、ハッキリといえることから。それは、一般的な戸建て住宅の建築・購入を計画している方々にとっては、大きな影響はないということです。

だから、安心して太陽光発電システムを設置して活用していただきたいと思います。問題になったのはあくまで買取制度。各電力会社ではこの制度により、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを買い取り、受電設備で受け入れて、一般に供給します。

今回の問題は、将来的にその許容量を超えてしまい、電力受給の質の低下を招きかねないということなのです。で、この中で特に問題視されたのが、10kwを超える太陽光発電の買い取りでした。

一般的な住宅で10kwを超える太陽光発電システムを搭載するケースは少なく、戸建て住宅はほとんど「保留」の回答を受けませんでした。ハウスメーカーなどによると、10kwを超えるのは屋根面積が大きくなる賃貸住宅がほとんどを占めていたそうです。

再生可能エネルギーの固定買取制度は、発電した電力を固定の金額で電力会社が買い取るという制度。これまで段階的に買取金額が引き下げられてきましたが、それでも利回りが良いことから、投機的な狙いで事業に参入する業者が多かったのが実情です。

再生可能エネルギーの固定買取制度は見直し必至

特に事態の混乱を招いた原因の一つに、工場の屋根や空き地でメガソーラーなどの大規模な太陽光発電を計画し、買取価格が高いうちに設備の認定だけをとり、実際には発電を行わないというケースもあるのです。

大規模太陽光発電

再生可能エネルギーの固定買取制度により大規模な発電システムを設置するケースが増えてきた。その一方で、電力会社の受け入れに限界が見え始めるなど、制度の問題が明確になってきたのも2014年の特徴でもある(クリックすると拡大します)

要するに設備コストがさらに安くなるのを待つなど、様子を見ながら発電を開始しようという事業者がいて、これが電力会社の発電計画などに影響しているのです。

また、制度を維持しているのは私たち消費者であることも問題です。電力を買い取りためには約2兆7000億円必要とされますが、それは私たちの電力料金に上乗せされているのです。このようなことから、制度の見直しは必至な状況です。

話を住宅に戻すと、買取制度を活用するケースでは、10kw以上の太陽光発電システムを搭載する場合と、10kw未満のケースでは圧倒的に前者の方が経済的に魅力的です。買取価格が後者では余剰電力(自家消費した以外の電力)を10年間買い取るのに対し、前者は20年にわたり全量を買い取るからです。

このため近年は、10kw超の太陽光発電システムを搭載することを推奨するケースが目立っていました。ただ今後は買取価格が大幅に引き下げられるケースや買取期間の短縮も考えられます。ですから、太陽光発電システムの搭載には注意が必要になります。

ところで、2014年も我が国は大規模な災害に見舞われました。年初には大雪し、夏場には台風による大雨、さらには広島市では大規模な土砂災害も。また、11月には信越地域に大きな地震が起こりました。

このように我が国ではどこに住んでいても災害から逃れられない状況にあります。年は改まりますが、災害に強く安心安全な住まいの必要性は、今後も変わりません。

老婆心ながらこのようなことを申し上げ、今年最後の記事を締めくくりたいと思います。
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