新年を迎える準備、お正月の飾りには意味がある
年末になるとお正月の準備をしている家も多いことでしょう。門には門松、玄関にはしめ飾り、室内には鏡餅などを飾って、新しい年を迎えます。最近では、クリスマスリースを模したような、かわいらしいデザインのお飾りもあります。お正月のしめ飾りは、五穀豊穣、子孫繁栄、代々栄えるようになどの思いが込められている。
さてこのお正月のお飾りには、それぞれに意味があることをご存じでしょうか。門松の松は依り代で、そこに歳神様(としがみさま)をお迎えして、幸せを願うための飾りです。
しめ飾りは、五穀豊穣や子孫繁栄、ダイダイは代々栄えるように、御幣(ごへい)という短冊のような白い紙には、神が宿る紙という意味があります。そして鏡餅は、多くの神社でご神体とされている丸い鏡をかたどった餅で、二段重ねなのは、太陽と月を意味しているから。これにも、ダイダイと御幣が付いてます。
日本の伝統行事であるお正月のお飾りは、どれもこれもとても縁起のいいものばかりです。来年もいい年でありますようにと願いを込めて飾ります。さて、この思いがたくさん詰まったお飾り、皆さんはどこに設えていますか?
昭和の時代は下駄箱のカウンターを利用して季節の設えをした
以前は、下駄箱のカウンターの上のささやかな空間を使って季節の設えをしている家が多かった。
昭和の時代では、下駄箱のカウンターの上のささやかな空間を使って、季節の設えをしている家がたくさんありました。
今までたくさんの家にお邪魔してきましたが、玄関の脇の小さなスペースに、季節の設えがしてあると、なんだかほっとした気持ちになったものです。またそのような設えがある家は、概して住環境に対して意識が高い人が多かったように思います。
慢性的な収納不足の日本では、空きスペースはデッドスペース
現在は、トールサイズの玄関収納が増えている。
最近の玄関収納は、トールサイズと呼ばれる天井までいっぱいに取り付けるタイプが増え、下駄箱の上の空間はどんどん姿を消しています。
季節の飾りを置く床の間も減っています。私も、この床の間部分に収納を作るリフォームを何十件となく手掛けてきました。今では、床の間どころか和室の存在自体も減っています。
効率だけを求める暮らしは息が詰まる
江戸の庶民は、季節感を大切にし、折々の行事や祭りを楽しみました。
その昔、江戸の庶民は今日食べることでいっぱいのギリギリの暮らしをしていたそうです。しかし、季節や行事を楽しむ心の余裕は忘れなかったと言います。
例えば、ほおずき市でほおずきを買って鳴らしたり、朝顔市でひと夏だけの朝顔の花を楽しんだり。その一見ムダと思われることを楽しむ心が、明日への活力を生んだと言います。
リフォームにゆとりを加えることで暮らしが豊かに
ニッチとは、花瓶などを置くための壁面の凹みのこと(ニッチのリフォームで玄関や廊下をセンスアップより)
例えば、トール収納の一ヶ所だけくり抜いて空間を作ったり、壁の厚みを利用してニッチを作ったり。窓の枠を少し大きくするだけでも、そこが季節を楽しむ小さなカウンターになります。
そのゆとりの空間、一見ムダな空間が、きっと心豊かな楽しい毎日を生み出してくれます。素晴らしい意味を持つ新年のお飾りを心を込めて設えて、よい年を迎えましょう。
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