街の運営に積極的に関わるタウンマネジメント会社
これは、「3世代、100年後もサスティナブル(持続可能)な街とする」ためだといいます。要するに、長期にわたって街の魅力を維持するために、事業者が積極的な関わりを持っていきますよ、ということで、これは他にはなかなかない価値だといえるのではないでしょうか。タウンマネジメント会社が行うことの一つにセキュリティがあります。街の出入り口や公共建物、公園などには「見守りカメラ」が設置され、死角のないセキュリティ体制を構築。もちろん365日24時間のホームセキュリティシステムなども用意されているそうです。
情報提供も役割の一つ。「Fujisawa SST」には独自のポータルサイトがあり、各住戸の省エネや省CO2に関する情報や生活に関わるアドバイス、街や周辺地域のイベント情報、住民の口コミ情報などを提供しています。
各住戸のHEMSと連携して、街のエネルギーマネジメントをし、それに情報提供機能をプラスしたものというイメージ。PCや携帯電話、各住戸のテレビなどからアクセスできるため、非常時には安否確認などにも活用が期待されています。
ちなみに、これに加えて藤沢市限定(実名会員制)のコミュニティサイト「SOY LINK」との連携も。スマートタウンはエネルギーだけでなく情報の連携も重要なファクターですから、このように市民レベルでの情報の連携というのは面白い取り組みだと思います。
このように「Fujisawa SST」ではコミュニティ活動を非常に重視しており、このためウェルカムパーティー(入居時)をはじめ、ランチミーティングや防災イベント、セミナー、灯明祭といった各種イベントが行われるといいます。
これらは「まち親プロジェクト」と呼ばれ、周辺住民を含む住民主体の運営を行うことで、街の価値を高めていくための取り組み。こうしたこともこれまでにない新しい魅力と考えられます。
このほか、11月の街びらきの時点では、情報発信拠点「湘南T-SITE」やそれに隣接する商業施設(書店やカフェなど)もオープン。今後は特別養護老人ホームやサービス付き高齢者住宅、各種クリニック、保育所なども設置される計画です。
世界に情報発信し、街づくりの技術・アイデアを展開
また、カーシェアリング(電気自動車、電動バイク、電動アシスト自転車のレンタル)、充電バッテリーをレンタルする「バッテリーステーション」の運用も始まっていました。さて、ここまでで皆さんにご理解いただきたいのが、スマートタウンというと省エネばかりに注目が行きがちですが、本当に質の高いスマートタウンというのは、このように街の住民や地域の人々とのつながりにまで配慮があるということです。
タウンマネジメントの会社があるケースはまだ少ないですが、住民や地域との「絆」づくりをしているかといった点について注目することにより、より満足度の高い住宅購入につながるのではないでしょうか。
ところで、「Fujisawa SST」の街づくりの取り組みは、今後、東京五輪(パナソニックはオフィシャルスポンサー)といった機会を通じ、世界中に情報発信されていくといいます。そうした点も、この街づくり案件が持つ他にはみられない魅力です。
街そのものを輸出するというわけではありませんが、省エネや省CO2の技術や住民交流のあり方などといったことは、まだ世界でもあまりみられないことなのです。そうした意味でも「Fujisawa SST」は、我が国を代表するスマートタウンの事例といえるのです。
スマートタウンとしてはもちろん、良質な街づくりの事例でもありますので、お近くの方は訪れてみてはいかがでしょうか。商業スペースなど公共の施設は皆さんにも開放されていますから、そこで過ごすだけでも最新スマートタウンの雰囲気を感じられるはず。