スマートハウスによる街づくり「スマートタウン」の開発が全国各地で進みつつあります。では、その最前線ではどのような取り組みが行われ、住民はどのような暮らしができるのでしょうか。今回の記事では「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(SST)」(神奈川県藤沢市)の事例から、最新スマートタウンの魅力についてレポートします。

戸建て街区は全てZEH仕様のスマートハウス

まず、「Fujisawa SST」の概要について説明します。パナソニックの工場跡での開発であり、パナソニックグループなどによる今、実用可能な技術やアイデアを用いて新しいスマートタウンを実現した案件です。

戸建て街区のガーデンパス

戸建て街区の様子。車道のほかに住戸の集まりの間に「ガーデンパス」が設けられている。これにより風の通り道ができ、各住戸に自然の風が導かれるように街全体が設計されている(写真はパナホーム提供。クリックすると拡大します)

総開発面積193,154平方メートル(約19ha)で、この中に戸建て(600戸=パナホーム三井不動産レジデンシャル)、集合住宅(約400戸)が建設される計画。街づくりが完了する2018年には、1000世帯、3000人が暮らすことになるとされています。

パナソニックグループをはじめとする「Fujisawa SST協議会」(パートナー企業18社)が参画。「湘南T-SITE」などの商業施設、健康・福祉・教育などの施設も建設されます。既に商業施設は完成し、11月には街びらき式典が行われ、私も取材してきました。

さて、戸建て街区の建物は全てZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様のスマートハウス。太陽光発電システムと家庭用蓄電池、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)が搭載されています。

ZEHとは、暮らしの中で使うエネルギーと創り出すエネルギーの差し引きが概ねゼロ(年間)になる建物のこと。2020年に新築住宅の標準とすると国が定めているのですが、それを先取りしたカタチです。

エネルギー設備としてはこのほか家庭用燃料電池「エネファーム」、オール電化の2タイプが用意されており、これらを連携させることで効率的にエネルギーを使い、余剰電力を売電することで省エネ性と経済性を両立できる暮らしが可能になります。

街区計画にも特徴があり、各住戸の間隔を1.6m以上開けたり、「ガーデンパス」(住戸の区画間に設けた小道)を設けることなどで、風を街に取り入れる工夫も行われています。

太陽光を遮らない街区設計も行われており、これらにより創エネや蓄エネ、省エネを効果的に行えるようにしているのです。将来的には街全体での「エネルギーの自立共生」を目指しており、このあたりは志の高さが感じられます。

省エネだけでなく防災への取り組みも充実

スマートタウンは、「防災機能」があることも大きなポイントです。「Fujisawa SST」はこの点でもトップクラスの配慮が行われています。例えば各戸にある太陽光発電システムと蓄電池はもちろんですが、効果が高いのがエネファーム。

コミッティセンター

戸建て街区にある「コミッティセンター」。通常は住民の集会所として、非常時には周辺住民を含めた災害拠点として活用される(クリックすると拡大します)

ガスが通っていれば停電時にも発電ができ、給湯なども可能になります。要するに、非常時にも最低限以上の生活が可能になるわけです。災害が多い我が国の実情に合わせた提案であると思います。

戸建て街区の中には「コミッティセンター」があり、ここは災害時の拠点となります。通常は住民の集会所となりますが、発電機や防災備蓄などの備えがあり、万が一の際にはそれらが周辺住民も含め開放されます。

また、街全体は電線の地中化や耐震性に優れたガス管が埋設されています。街の南側には公共用地を活用した「コミュニティソーラー」も設置されており、これは通常時には地域に売電され、非常時にはエネルギー確保に役立てられます。

このほか、「共助」のための取り組みも特徴となっています。これは10~20世帯ごとにグループを作り、日頃からタウンマネジメント会社が企画するイベントに参加することで交流を深め、非常時の備えを常に維持しておくというものです。

これらにより、災害時における安心安全を提供する仕組みが作られているわけです。次のページでも「Fujisawa SST」が目指す、最新のスマートタウンのあり方、その暮らしについて紹介していきます。