事前の調査と出口調査をもとに「当確」を発表!精度は?
開票待たずして当選確実のカラクリは統計学にあった!?
いったいどのような仕組みをもとに当選確実は出されているのでしょうか。結論から言えば、出口調査や事前の調査をもとに当選確実は出されているといえます。それではどの程度の信頼度があるのでしょうか?今回は出口調査を中心に、選挙速報における当選確実のカラクリについて解説します。
出口調査で実際の投票結果を予測する
選挙開催が決まると、メディア各社は一斉に事前調査に乗り出します。通常、無作為に抽出した電話番号などをもとに誰に投票するか、どの政党に投票するかといった質問を行い、事前の投票予測をまとめます。また、いくつかの選挙事務所を訪問し、相手の陣営がどれぐらいの票を取りそうかといった内容を取材し、メディア記者ならではの予測を行います。この他、過去の実績や候補者の知名度、組織票などをもとに、議席数や当選予測を行います。こうして事前の予測がまとめられ、ある程度の議席数や誰が当選しそうかといった内容がメディアにて公表されることになります。
ただし、これはあくまで事前の予想。アンケートや質問を回答してくれた人が実際に投票に行くかはわかりませんし、選挙事務所の予測が外れる可能性だってあります。また、選挙当日の天候や無党派層の行動などが影響し、ふたを開けてみたらまったく異なる結果となることも否定はできません。
そのため、事前予測だけではなく、選挙当日の出口調査ももとにしながら実際の投票結果を予測し、当選確実かどうかを予測していくことになります。
選挙の当選確実をだすために「統計学」が利用されている
実は選挙の当選確実を出すために、統計学が利用されています。出口調査では、実際に投票した候補者や政党名を聞き、集計していきます。どれぐらいの人数を聞けばよいかは、候補者の数や候補者の人気度、接戦地域かどうかといった観点で異なってきますが、96人に聞けば誤差10%以内で、384人に聞けば誤差5%以内でその候補者の得票率の予想される範囲を95%の信頼度で求めることができます。95%の信頼度とは、100人いたら95人は予想された範囲内の回答を行っているという意味です(下記補足参照)。統計学では95%以上の信頼度があればおおよその当てはまりは高いといわれていますが、選挙の場合には速報が外れればメディアの信頼はがた落ちとなるため、回答を得られる人数を多くすることで信頼度を高めているといえます。
ただし、統計によるデータ分析時には注意点があります。おそらくメディア各社は注意しながら行っていると思いますが、年齢や男女など偏りがないように無作為に、全体の投票者の行動と同じになるような比率で抽出する必要があること。例えば、男性ばかりとか、若年者ばかりに出口調査を行うと、実際の投票結果を見誤る可能性があるのです。
メディア各社の出口調査が実際には何人に聞いているのか、実際にどのように当選確実を出しているかなどは公表されていないためわかりませんが、意外にも一つの選挙区で数百人~数千人程度の回答から当選確実を出しているかもしれませんね。それでも信頼度は結構高いといってよいでしょう。
<補足・・・信頼区間(得票率の予想される範囲)の計算>
細かい計算は省きますが、例えば候補者がAさん、Bさんの2人だったとして、無作為に選んだ有権者50人に出口調査の結果を聞いたところ、Aさんに投票したと回答した人が35人(70%)だとすると、予想される得票率は95%の信頼度で57.3%~82.7%となります。この予想される得票率の範囲内に実際の得票率が入っている可能性が95%といえるのです。たった50人にしか聞いていませんが、予想される得票率の下限が50%を超えているため、Aさんが当選するだろうと割り出すことができます。
接戦の場合には、この回答者を多くしていくことで予想される得票率の範囲を狭めていき、当選確実を出せるかどうかを見極めていくといえます。
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