母性の強さが仇になる?
夫婦間のバランスがパパのイクメン度を決める!?
そんな母性の強さを否定する人などいないのですが、最近の研究で、ママが首尾よく完璧に育児をしてしまうと、いくらイクメンの素質があるパパでも、そのイクメンぶりが発揮できないということが分かりました。イクメンパパを引き出せるのはママ次第というこの研究を、ここでご紹介しましょう。
イクメン度を発揮できるかはママ次第
アメリカの大学が、182組の夫婦を妊娠後期から産後3ヶ月まで追跡調査しました。主に観察したのは、パパとママの子供への関わり方とそのバランスでした。生後3ヶ月で見えてきたのは、
- ママが完璧だと、パパは手を出さない傾向が強いが、
- ママが完璧でないと、パパが本能的に子供を守り、それに応じて、コミュニケーション、スキンシップ、遊びの頻度も増える傾向があった
夫婦は相手がどんな親になるかを本能的に察知している!?
この結果を一見すると、夫婦というのは上手くできていて、お互いにないものを求め合うものなんだ、と思えるかもしれません。でも実はそうではなく、この本能的な育児力は、夫婦で似通っている傾向が高かったのだそうです。つまり、ママのポテンシャルが高いと、パパのポテンシャルも実は高く、似たもの同志が結婚する傾向が非常に強かったのだそう! 興味深いですよね。完璧ママの旦那さまは、実は、父性のポテンシャルが高い。でもだからといって、必ずしもイクメンになるわけではないんですね。ママの母性を補填する形で発揮されるというこの結果、どう思われますか? 「それなら、やってよ!」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
いずれにしても、ママのさじ加減がポイントになりそうです。では、どうやってママは力を抜いて、パパに委ねていったらいいのでしょう?
ここで、パパの立場を感じ取るために、次の例でシュミレーションしてみましょう。
例:あなたは他のママ友さんと組んで、子供の幼稚園の大きな業務を1つ任されました。そのママ友さんは、仲間うちでも、超完璧主義ということで知られています。そんな人と一緒に何か1つのことを共同でやらなくてはいけないとき、どんな気持ちになりますか?
「失敗はできない」「完璧にこなさないとOKを出してくれない」とプレッシャーを感じる方、なかには、「それなら全部任せちゃおう!」と潔く諦めてしまう方もいるかもしれません。いずれにしても、自分のポテンシャルを十分に発揮できないのは目に見えています。
今は男女とも役割の変換期にある
今回の調査で分かったパパの心理もこれと同じ。パパからすると、- ママが完璧だと、何をどこまでやっていいのか分からない
- ものすごく高いハードルを求められている気がする
少し前までは、男は外で、女は家で、というスタイルが主流でした。でも今は時代が変わり、色々な意味で役割が混じってきました。男性が女性の世界へ踏み出したことによるイクメン、女性が男性の世界へ踏み出したことによるワーママ。どちらもこれまでにない役割を担い出したのですから、風当たりを強くしてしまうと、本来の力を発揮しにくくなります。
完璧主義を捨てると、育児はうまく回りだす
女性が働きやすい社会が整えば、ワーママが増えるのと同様、パパが入り込んできやす状況をママが作っていくことで、イクメンパパが活きてきます。過去記事『つい頑張りすぎてしまうママの育児ストレス解消法』にも書きましたが、やはり頑張るけれど頑張りすぎない力加減がポイントのようです。はじめは、力を抜くことに勇気が必要かもしれません。「なんだか、私、サボっている気がする」と感じるかもしれません。でも、完璧主義の人にとって、これでいいという満足ポイントはそもそも存在しないんです。常に走り続けてしまうのが、完璧主義というもの。それでは、ママのみならず、パパも疲れてしまいますよね。自分にも相手にも完璧を求めないことで、ママもパパも穏やかな気持ちで子供と向き合えるようになっていきます。ぜひ、自分のためにも、パパのためにも、頑張るけれど、頑張りすぎないポイントを見つけてみてください。
出典:学術誌 Infant Mental Health (2014) 「Expectant fathers’ intuitive parenting: Associations with parent characteristics and postpartum positive engagement.」より