キッチンの製造現場には、真摯にものづくりに向かう職人たちの姿がありました。それは、リフォームの現場で求められている姿、そのものでもありました。

福島県いわき市にあるクリナップのキッチン工場

クリナップは老舗のキッチンメーカーです。昔、「クリナップ~の流し台」というコマーシャルソングを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。先日、このクリナップの製造工場にお邪魔をしてきました。

福島県いわき市クリナップのキッチン工場

福島県いわき市にあるクリナップのキッチン工場。


キッチンは使う人によって求められる形が違う

キッチン工場と言うと、レーンに乗せられて自動的に組み立てられていくというイメージがありますが、キッチンは使う人によって求められる形が違います。ひと口にシステムキッチンと言っても、1台1台サイズも違えば、シンクが右かコンロが右か、そのシンクやコンロのサイズもまちまちです。

同じ形のものを大量生産するのではなく、消費者の要望に合わせてひとつひとつ違う形を作る必要があるため、複雑な管理システムと人の力が必要になります。生産者の都合に合わせて管理するのではなく、消費者の都合に合わせての管理が必要になるということです。

後世に技術を伝えるために手作業を残す

意外だったのが、手作業の割合が想像より多かったことです。全てを機械化しない理由として、手でなくてはできないことがある、もちろんそれもありますが、後世に技術を伝えるため、日本のものづくりの精神を失わないため、そのためにあえて2割以上は手づくりを残しているとのことでした。

例えば、ステンレスに美しいカーブを描く叩き出し加工は、経験を積んだ熟練工によって行われていました。そのカーブには、機械では生み出せない人の手に馴染む柔らかさがありました。

「後工程はお客様」という精神が最終的な顧客満足を生み出す

そして工場のあちこちで聞いた言葉が「後工程はお客様」という言葉です。イマドキはほとんどの企業で「顧客満足」という理念を掲げています。しかし工場では工程が細かく分かれているため、自分が作っているその部品が、お客様にとってどんな意味を持つのか、顧客満足を実感するのは難しい部分があります。

しかし、次の工程を担う人がやりやすいように、次の人が満足してくれるように、後工程に携わる人をお客様と思って製造を行えば、顧客満足を実感しやすくなります。そしてその思いは工程を進むごとに、どんどん積み重なっていき、最後に製造に関わった全ての人の思いがお客様に伝わる、実はこれはリフォームの現場そのものでもあります。

後工程がお客様ならリフォームの現場は上手くいく

リフォームの工程を考えた時、まずは解体、それから木工事や電気工事、設備工事、塗装工事、内装工事という順番で進みます。

解体の工程で、ただ解体するのではなく、そこで次の木工事がしやすいように気を使って解体すれば、次の工程が楽に早く美しく仕上がります。同じように木工事ならビスの止め方ひとつで、次の内装工事の手間と仕上がりが変わります。

「こうやっておけば、次の人がラクだから」そんな言葉を聞くことができた現場は仕上がりがよく、その気持ちは最終的にお客様に伝わり、高い満足がありました。後工程がお客様という精神があれば、リフォームの現場は上手くいくのです。

見えないところにこそステンレスを使うという精神

クリナップは、高温多湿な日本では見えない部分にこそステンレスを使うことが大切であるとして、ステンレスのキャビネットにこだわってきました。そして今回、工場を見学させてもらうことで、その深い思いを肌で感じることができました。

「後工程はお客様」の精神で作り上げられたキッチンは、普通お客様が触れることがない裏側の部分でも、1工程を加えて安全に加工してあります。

それは設置に来た職人さんが触った時にケガをして、お客様の大事なキッチンを汚すことが無いようにという思いが込められているからです。キッチンもリフォームも人の手と心が作り上げる物なのだと、改めて実感させられた1日でした。

見えない部分にこそステンレスを使う。キャビネットがステンレスでできているクリンレディ(クリナップ)

見えない部分にこそステンレスを使う。キャビネットがステンレスでできているクリンレディ(クリナップ



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