小宮一慶さんのお金持ちになる人のビジネス法則
お金持ちの人の情報の集め方とは
新聞の見出しの大きさをまずチェックすることが大事
最近電車の中で新聞を広げている人を見かけなくなりました。朝の混んだ電車の中で新聞紙を広げるのは面倒。ニュースはスマホで読むという人が増えています。ですが私は紙の新聞も合わせて読むことをお勧めしています。電車の中では難しくとも、家やオフィスでは紙面を広げて読む。私自身、紙の新聞と電子版を併用しています。ご存じのように新聞にはそれぞれ記事に大小が付いています。見出しの大きさもそれぞれ違う。この記事の大きさの違いが一つの情報です。何をトップに持ってくるか?どの記事をどれくらいの大きさにするか?
各紙ともに世の中の動きや意識を考慮しながら、知恵を絞っているんですね。紙面だとそれが一目でわかる。スマホやタブレットだとどうしても分かりにくいのです。
私の場合、新聞記事はオーソドックスに1面の最も大きな記事から目を通し、以下全体に目を通していきます。素直な読み方ですが、最初の段階では記事を選んだりジャンルを限らないことがポイント。これは「世間の関心」に自分の関心を合わせる訓練なのです。
情報に触れる時は「受け身」であることが大切です。そういうと多くの人は不思議に感じるかもしれません。情報は積極的に取りに行くものだという意見も多いですね。自分のテーマと関心を持つことで情報感度が高くなる。そういう側面もありますが、まず世の中全体の動きを知るという段階では、余計な先入観や自分の好き嫌いを抜きにして、できるだけ間口を広くしてやることが先決だと考えます。
「受け身」という意味でテレビやラジオのニュースや番組も私はよく見ます。たとえ見たい番組が決まっていても、チャンネルをいきなりそれに合わせずに、わざと1チャンネルから順番にザッピングしていきます。すると意外に面白い番組に出くわすことがあります。
先日もそうやってザッピングしていたら高校生向けの番組で、思考法を高める方法を解説する番組がありました。思わず最後まで見てしまいましたが、いい意味での想定外の出会いも「受け身」情報収集術の良さです。
情報をえり好みしたり、色眼鏡で取捨選択するのではなく、虚心坦懐に受け入れる。自分の世界ばかりを追うのではなく、世の中の動きを知り、それに合わせることができる人が、結局お金を稼ぐことができる人だと思います。関心の幅が広がりますからね。
腰の低い人に人、情報、そしてお金が寄ってくる
情報が集まってくる人とは
私の好きな言葉の一つですが、良い情報を得るには一つはアンテナを高くすること。そしてもう一つは腰を低くすることが大切です。とくに有益な情報はメディアを通してではなく、人から直接伝え聞く一次情報が圧倒的に多いはず。
その点、腰が低く謙虚な人は周囲の人から好感を持たれやすく、また周りも良い情報を教えたいという気持ちになります。逆に「自分は何でも知っているよ」というような高慢な人物に対しては何かを教えてあげたいとか、情報を共有したいと思わないでしょう?
私の知る限り、長期的に成功している経営者は、意志は強いものの、例外なく腰が低く、物腰の柔らかい温厚な人物です。独善的でワンマンな人物は持ち前の押し出しの強さで一時的には成功してお金を稼ぐかもしれませんが、結果的にはどこかで躓いたり、失敗してしまう人が多いように思います。
結局、人も情報もお金も、いろんなものを受け入れる間口の広い人、そして謙虚で虚心坦懐な腰の低い人に集まってくる。「アンテナは高く、腰は低く」──ぜひ意識して実行してみてください。
★次回は、小宮さんの考えるお金持ちになる人の支出との向き合い方です
小宮一慶(こみや・かずよし)さん
取材・文/本間大樹